秋に組んだ天然ミヤマクワガタの産卵セット割り出しの様子です。
ひっくり返した飼育ケースのマットから零れ落ちる様に無数の幼虫が出てきました。
他の種類の繁殖と少し違ってコツが必要ですが昨年に引き続き黒土産卵法(産卵専用マットに園芸用黒土をブレンドした方法)で大爆産でした。
ポイントは通気性の確保の為に一見栄養がなさそうな園芸用黒土をふんだんに使う事です。
あと、土の深さが無いと上手くいかないので中サイズのケースに比べて高さがあるコバエ防止飼育ケース(大)がオススメです!
写真は、今回の幼虫の割り出し結果です。
管理用カップには後から無添加虫吉幼虫用マットを入れてフタをします。
1匹のメスから1セットで69匹の初齢と二齢が出てきました。
※写真は65匹ですが後で残土から4匹出てきました
幼虫は、カップの中で5日ほど養生させて二齢もしくは終齢だけを無添加マットボトル850cc(現在は遮光クリアボトル800ccタイプへ仕様変更)に投入します。
※ミヤマクワガタには菌糸ビン飼育は合いません。(絶対に使用しないでください。)
マットボトルとは、無添加虫吉幼虫用マットのボトル詰め商品の事です。
ミヤマクワガタは、添加剤や発酵熱による温度上昇に弱い種類なので当店の無添加の幼虫用マットが最適です。
ご自身でボトルにお詰めになられる場合は、添加剤による有害なガスや発酵熱の心配がないので強く詰めても大丈夫です。
劣化が遅いので固く詰めた状態なら3から4ヶ月毎の交換で大丈夫です。
(水を加えると劣化が早まるので避けてください)
終齢は、初夏から夏にエサ交換を行うと環境の変化に適応できずに極端に落ち着きが悪くなってしまい潜る事ができなくなるので春に交換を済ませて夏の交換を避けると良いです。
成虫同様、高温に弱いので真夏の20℃前後の冷房管理が必要不可欠です。
ミヤマクワガタは、自然界では、林床と呼ばれる森林内部の地表面の温度が25℃を超え始めると生息が困難な種類と言われています。
飼育下での容器中のマットの温度が自然界での林床温度に相当します。
なお、下記の理由で単純にエアコンの設定温度を25℃にするだけではダメです。
成虫の飼育容器及び幼虫のボトル内のマットの深部温度は、飼育環境の温度(室温)よりも3℃前後(場合によっては、それ以上)高くなると言われています。
★室温を25℃に設定した場合、ボトル内が3℃高くなると仮定した際のマットの深部温度は28℃前後になる事を意味しますので完全にアウトになってしまいます。
ボトル内のマットの温度を確実に25℃以下にキープする為には、逆算して20℃前後(最低でも22℃以内)までエアコンで温度を下げる必要があります。
逆に寒冷地に多く生息する種類につき、真冬の暖房の必要はありません。
暖房や温熱器具で加温すると潜らずに上に出てくる事が多くなります。
また、防寒対策で箱状の密閉された容器の中にボトルを入れると酸欠で同様の事が発生するので注意が必要です。
なお、幼虫期間が長い種類なので、メスの幼虫は1年から1年半で羽化しますが、オスは羽化までに2から3年くらい掛かる場合があります。
※お客様からのお問い合わせやご相談が多いのですが、残念ながら同じ母親(メス)から生まれた兄妹が成虫で出会えない可能性が非常に高いです。(同じ血筋同士の累代飼育が困難です。)