現在、初夏の羽化に向けて虫吉の工房内では蛹化ラッシュの真っ最中です。
今回は、先月から徐々に羽化が始まっている※本土ノコギリクワガタ(福岡県福津市産)のカッコいい固体の紹介です。
※ノコギリクワガタも離島産の亜種が多いので区別する為、日本の本土の種類と言う意味で本土(国産)ノコギリクワガタと呼ばれる事があります。
天然採集品のメスのみで単独産卵させて産まれて来た幼虫を育てて羽化させた物です。
天然の個体は、自然界で交配済みの確率が高いのでメスのみで産卵可能な場合が殆どです。
画像は、最新羽化の67ミリの湾曲が鋭い水牛タイプの固体です。
70ミリには遥かに届きませんが、この時期の早期羽化にしては結構な大型です。
※昨年同様、これから先の羽化で70ミリの期待が持てそうです。
育て方は、至って簡単でマット飼育で下記のエサ交換で羽化させました。(空調で21から23℃で管理)
6月の天然固体で産卵セットを組み2014年7月月22日に割り出しました。
エサ交換のリレーは下記のとおりです。
- 1本目(2014年7月29日)二齢:マットボトル850cc
- 2本目(2014年11月23日)終齢:1本目と同じくマットボトル850cc
上記の様に菌糸ビンの必要はありません。
また、無添加虫吉マット(ボトルの中身)は、持ちが良いので4ヶ月に1回のマット交換(ズボラ飼育)で大丈夫です。
※過去にマットのみの飼育で70ミリが出ました。
菌糸ビンを使うと終齢で落ち着きが悪くなって可哀想な事になりやすいのでお勧めしません。
これからも色々と羽化して来ると思いますので紹介したいと思います。
先日はネブトクワガタについてお答えいただきありがとうございました。
2014年割り出しでもう羽化したのですね。
うちの連中も去年の9月に割り出したものですが、まだまだ小さく羽化までは程遠い感じです。
本土ノコギリのブリードは初めてなのですが、蛹室から取り出すと中途半端に活動して死んでしまうと聞きましたが本当でしょうか。
ツキ様
いつもありがとうございます。
ご報告ありがとうございます。
当店ではエアコンの空調管理なのでどうしても暖房の風が当たって早期羽化を起こしやすい場所があります。
通常の場合は初夏から夏の羽化になると思います。
ノコギリクワガタだけでなく昆虫は、樹液が出始めるシーズン(梅雨入りから夏)に活動を開始します。
なので自然の気象の影響を受けない飼育下では、春先に羽化した個体が数ヶ月で活動を開始する事が多いです。
因にに超早期活動の傾向が強い「クロシマノコギリクワガタ」は、ボトルから出さなくても羽化して1月ほどで上に上がって来る事があります。
夏を挟むとノコギリだけでなく、オオクワガタやヒラタクワガタですが猛暑などの環境次第で羽化後数ヶ月で産卵したご報告をいただいた事があります。
ノコギリクワガタの早期活動を抑える為には、基本的には冬の加温を避けて、夏は出来るだけ涼しい場所での飼育をお勧めします。
逆に気温が下がり始める秋に羽化した個体は、加温を避けると翌年の初夏まで未活動のまま越冬します。
※離島産ノコギリクワガタも全く同じです。
蛹室から出した個体は、雑な管理を行うと早く弱ってしまうので注意が必要です。
※乾燥とマットの表面にひっくり返って出たままの状態を避ける必要があります。(以前申し上げたとおり活動初期に与えるエサでも大きく変わります)