今回は、クロシマノコギリクワガタの産卵セットの紹介をしたいと思います。
鹿児島の南南西に浮かぶ島、三島村の西のはずれに位置する黒島に生息するノコギリの亜種です。
最大の特徴は、本土産には無い、太くて湾曲したアゴと太い体です。(独特の紅色をしています)
幼虫も本土産よりも一回り大きくなりますが、脚や腹部も太くなるので70ミリを超えるのが至難の業です。
そしてもう一つの特徴が日本のノコギリの中で『最狂』の異名を誇る凶暴な性質です。
※ペアリング時に普通に同居させるとメスの命が幾つあっても足りません。
また、超早期活動タイプで20度を超える環境での飼育の際は、羽化後1から2ヶ月ほどで活動を開始して繁殖可能になる事が多いです。
(新成虫は、出来るだけ低温飼育をお勧めします)
繁殖の推奨温度は23から28℃です。
以上の事を踏まえて、実際の手順を紹介をします。
■使用する主なアイテムです。
なお、今回は、朽ち木を1本だけの使用ですが2本使った方が飼育容器への収まりや効率も良いです。
先ず、クヌギ産卵木Mをバケツ等に入れて加水します。
最初は、乾燥しているのでプカプカと水に浮かんでしまい、このままでは水が染み込むまで何時間も掛ってしまうので沈める必要が有ります。
画像の様に重しをして沈めると加水時間の短縮が可能です。
※画像は漬物石を使ってますがレンガやブロック、水を入れたペットボトルでも代用が可能です。
この状態で約30分ほどで加水が完了します。
長く漬け込み過ぎると水切れが悪くなり、ケースにセットした際に多湿気味になるのでご注意ください。
30分の加水後、ひっくり返したカゴやザルの上に置いて日陰干しで水を切ります。
※画像のカゴは、近所の八百屋さんから貰ったオクラが入っているカゴです。
この作業は、晴れた日に組んだ方が水切れが良く、丁度良い塩梅の含水率になります。
概ね6から8時間の日陰干しで大丈夫です。(気温が高い日は、少し短めでも大丈夫です。)
ステーキナイフで樹皮をはがしていきます。
※100円均一やホームセンターで売っている安価な物で大丈夫です。
樹皮は、完全に剥がして大丈夫です。
自然界では、地中に埋もれた朽ちた木や根っこに産卵する事が多いので、むき出し状態の方が適しています。
飼育ケース(中)に産卵専用マットを入れていきます。
固めない状態で容器の3分の1から半分位までいれてから一旦入れるのを止めて下記の様に固めます。
この分量で固めると丁度よい感じになります。
※入れ過ぎると後から説明する埋め込み分が不足して1袋で足りなくなってしまいます。
マットプレスで底の3から5センチの部分を固めます。
※新聞紙は、飼育容器の割れ防止のために敷いていますが、一気に体重を掛けると割れる恐れがあるので注意してください。
※この作業で固めた部分の層にも卵を産んでくれるので重要なポイントです。
固め終わったら先程の朽ち木を上に置きます。
2本使用する際は、逆の方向(縦向き)に並べるとスッポリと入ります。
再び残りのマットを入れて完全に埋め込んで行きます。
※4リットルで丁度1セット組めます。
手で軽く押さえて隙間を埋めて行きます。
※強く抑え過ぎると底の部分が酸欠を起こしてしまい良い結果が出なくなるのでご注意ください。
完全に埋め込んでセットの完成です。
成虫を入れる前に、凶暴な性格を踏まえ事前に下記の作業をお勧めします。
画像はペアリングの様子です。
事前に飼育ケース(ミニ)にメスが殺されない様にオスのアゴを縛って3から5日ほど同居させます。
オスは、少し窮屈な思いをさせて可哀想な感じもしますが普通に入れるとメスが真っ二つになって命が幾つ有っても足りません。
(仕方なく、オスには少し我慢してもらうしかありません)
なお、ペアリングは、オスとメスの双方がエサを食べ始めて1から2ヶ月経過してからの方が確実です。
超早期活動タイプなので飼育温度次第で羽化後直ぐに産卵可能になる事もあります。
※因みに容器の中は、ダニ取りマット、超高たんぱくワイドカップゼリー、専用エサ皿を入れています。
数日間のペアリング後、セットのケースの中にメスのみを入れます。
容器の中には、転倒防止用のクヌギの落ち葉を入れています。
※プチエサ皿にホワイト高たんぱくゼリー(左)とブラウン黒糖ゼリー(右)を入れています。
3から4週間ほど経過しても卵や幼虫の確認が出来ない場合は、再度アゴを縛ったオスを投入してみてください。
割り出しは、概ね1ヶ月半から2ヶ月後で大丈夫です。