今回は、ゴトウヒラタクワガタの産卵セット(産卵木をケースにセッティングする事)を紹介します。
日本海側の対馬や壱岐の亜種と同系統のアゴが長い種類ですが、より南の九州本島に近い場所に生息するので画像の様に少し太くてガッチリした個体が羽化する事が有ります。
※日本海側には、対馬、壱岐、五島の3亜種が存在しています。
生息している環境も日本本土と殆ど同じなので飼育方法も本土の物と同じです。
繁殖は、無加温飼育(室内常温)の場合でしたら5から9月の気温が24℃を超える様になってから始めると良いです。
自然界のヒラタクワガタが姿を見せ始める梅雨入り前後の蒸し暑くなり始める頃からの繁殖が最適です。
気温が下がる秋以降は、加温飼育で25℃前後の一定の温度管理を行う必要が有ります。
季節や気温にも左右されますが産卵には、羽化して4ヶ月以降のオスメス共に餌を食べているペアを用いると効率が良いです。
冬場に加温が出来ない環境の場合は、寒い環境で完全に冬眠させた後、越冬明けの春から初夏に掛けてセットを組むと良いです。
(気温が上がると活発に動き、エサを食べ始めますので目安にしてください)
※越冬には、ココパウダーマットがお勧めです。
それでは実際の飼育方法を紹介したいと思います。
最初に必要な物は、産卵木、産卵用マット、コバエ防止飼育ケース(中)です。
今回の朽ち木には、太めのコナラ産卵木を使用しましたがクヌギ材(M)x2本でも問題有りません。
コバエ防止ケース(中)は、コバエだけでなく乾燥も防ぐ事が出来る上にセットに最適な大きさです。
産卵木は乾燥していますので先ず、バケツ等に水を入れて加水する必要が有ります。
重しをして沈めています。
そうする事で時簡短縮が可能です。
※画像は漬け物石を使っていますがレンガ、水を入れたペットボトルなど何でも構いません。
太さにもよりますが、この状態で約30分前後の加水で大丈夫です。
加水完了後にカゴやザル等の上に乗せて日陰干しで水切りを行います。
カゴの上に乗せると水切れが良く、余分な水分が早く取り除けます。
天候にもよりますが約6から8時間の日陰干しで大丈夫です。
夏は、この状態を長く続けるとカビだらけになってしまうので注意してください。
※カビは飼育上の問題は無いのですが初めての方が心配されるので念の為。
水切りが完了したら樹皮を剥がして行きます。
※ステーキナイフ(安価な物で可)を使うと安全です。
樹皮は全部剥がしてしまって大丈夫です。
樹皮を完全に剥がした画像です。
※黒い点は、シイタケの種菌のコマを打った痕なので特に気にする必要は有りません。
飼育容器にマットを入れます。
飼育ケース(中)の場合は容器の半分か少し下(4割くらい)まで入れて一旦止めます。
※分量は固めない状態での目安です。
マットプレスを用いて底の部分をカチカチに固めています。
容器を割らない様に底に玄関用マットを敷いています。
代用品として新聞の束や古雑誌、重ねたボール紙等でも構いません。
敷いておいた方がケースの割れのリスクを軽減出来ます。
朽ち木を飼育容器に入れます。
※クヌギ産卵木Mサイズを2本使用の際は、縦向きに2本並べます。
上から残りのマットを被せます。
※3つ前の画像の説明とおりの量でジャスト1袋(4リットル)を使い切れます。
容器と木の隙間を埋める為に端を軽く手で抑えます。
強く抑えると肝心要の底の固めた部分が酸欠を起こして台無しになる可能性もあります。
力の加減に注意が必要です。
これでセットの出来上がりです。
産卵セットに入れてしまうとメスが潜って休眠してしまう事が多いので事前にBeケース(ミニ)等で3日ほどペアリングさせた方が効率が良いです。
画像は、飼育ケース(ミニ)でペアリング中のペアです。
※確実に雌雄が出会える様にココパウダーマットを浅めに強いてワイドカップゼリーを1箇所のみ入れています。
オスがメスを挟んで殺してしまう事故『メス殺し』が起きやすいです。
大型のオスの場合は、念の為、画像の様に園芸用のグリーンタイでオスのアゴを縛る事をお勧めします。
(同居後5から7日前後でタイを解いて別々に飼育します)
メス殺しは、起きない時は起きないのですが起きる時は起きるといった感じです。
但し、車の事故よりも確率は遥かに高いので『オスのアゴ縛り』は、自動車保険の替わりとお考えください。
ケースにペアリング済みのメスだけを入れます。
※飼育容器には、クヌギの落ち葉(転倒防止)、国産プレミアム昆虫ゼリーを入れています。(エサ皿、お好みで構いません)
夏期以外は、温度が低いので産み始めまでに少し時間が掛かります。
概ね1ヶ月前後で幼虫や卵が見えない時だけ再びオスを3日ほど入れて様子を見ると良いです。
※未成熟のメスや気温が低い季節は、容器内で休眠に入る事が多いので【産卵しない=未交配】とは限りません。
★2018年4月12日追記:幼虫の割り出し記事>>>