今回は、日本最西端の八重山列島に生息するヤエヤマノコギリクワガタの産卵セット(産卵木をケースにセットする事)を紹介します。
この種は、台湾産の近縁種の位置付けの種類で本土産ともリュウキュウノコギリとも異なる独自の進化を遂げた固有種に近い存在です。
因みに八重山は、沖縄本島(那覇)と約400キロも離れており、逆にお隣の台湾に近いです。
沖縄方面や南西諸島産の亜種は、頭楯(口の部分の張り出し)が二又に分かれていますがこの種は、本土産同様に分かれません。
近年では、条例により一般採集が禁止になっている島もあり離島産のレア種です。
羽化後にオスとメス共に餌を食べ初めてから産卵可能になります。
繁殖推奨温度は23から28度前後です。
※梅雨明けを挟むと早期活動(羽化して1から数ヶ月後の活動)を起こす傾向が高いので春から初夏に羽化したペアは、その年の夏から秋に繁殖可能になる事が多いです。
秋以降(春まで)の産卵には、加温飼育が必要です。
それでは実際のセット方法の紹介です。
最初に必要な物は、コバエ防止ケース(中)、クヌギ産卵木(Mサイズ)、産卵用マットです。
(今回の朽木は、Mサイズ1本のみの使用ですが2本の方がケースへの納まりが良いです。)
先ず、産卵木をバケツ等に入れて加水(水を染み込ませる作業)を行います。
乾燥しているのでプカプカと浮かんでしまい加水に時間が掛るので重しをして沈める必要が有ります。
画像は、重しをして沈めている様子です。
そうする事で一気に加水時間の短縮が出来ます。
(ブクブクと泡が出ているが判ります)
※重しは、漬物石を使っていますが、レンガや石、水を入れた洗面器やペットボトルでも大丈夫だと思います。
約30分前後(確実に1時間以内)で加水は、完了です。
※加水時間が長すぎると水切れが悪くなり、飼育容器内が多湿になりやすいので逆に良くありません。
水から出したらカゴやザルの上に乗せて日陰干しで水切りを行います。
※この状態の方が乾きが早いです。
天候や季節にもよりますが約6から8時間程度の日陰干しで構いません。
水を切った朽ち木の樹皮をステーキナイフで剥がしている様子です。
※ステーキナイフは、安価な物でも構いません。
朽ち木の樹皮は、全部剥がしてください。
次に飼育ケース(中)にマットを入れます。
固めない状態で容器の4から5割程度で一旦入れるのを止めます。
最終的にこの分量で丁度1袋(4リットル)を使い切ってセットを組めます。
※クヌギ材Mを2本使用時。
マットプレスを用いて押し固めます。
1つ前の項目で説明した分量で底の部分に5センチ前後の固めた層が出来上がると思います。
※容器の底に敷いた四つ折りの新聞紙は、容器の割れ防止の為に用いています。
(底にクッションになる物を敷いた方がプレスした際に割れにくいです)
飼育ケース(中)に先ほどの朽ち木を入れて上から残りので埋め込んで行きます。
2本入れる場合は、縦向きに2本入れる。
因に底の固めた部分及び、埋め込んだ木との接地面に主に産卵します。
手で軽く押さえて容器と朽ち木との間に出来た隙間を埋めます。
※この部分は、底の部分の酸欠防止の為に強く固める必要は有りません。
これでセットの出来上がりです。
事前のペアリングは、下記の説明のとおりです。
産卵セットに入れると潜ったままになる事がありますのでペアリングが心配な場合は、Beケース(ミニ)でセットを組む数日前からペアリングさせておくと高確率で完了するのでお勧めです。
※確実に交配させたペアをセットに入れた方が確実です。
・飼育容器内には、ココパウダーマット、超高たんぱくワイドカップゼリー、ワイドカップエサ皿(1つ穴)を入れています。
組み終わった容器内にペアとエサの昆虫ゼリー等を入れて準備完了です。
オスがメスを挟んで殺してしまう事が少ないので一緒に入れても構いません。
※画像は、クヌギの落ち葉(転倒防止)、ホワイト高たんぱく昆虫ゼリー(左上)、ブラウン黒糖昆虫ゼリー(右下)、プチエサ皿x2個を入れています。
割り出し(幼虫採取)は、飼育容器の底に幼虫が這い始めてから行うと良いです。
※約1から2ヶ月後になると思います。