3月も中旬を過ぎ、いよいよクワガタの繁殖のシーズンが近づきつつあります。
今回は、ヤクシマコクワガタの産卵方法を紹介したいと思います。
屋久島に生息する離島産のコクワの亜種で赤みが強い人気の種類です。
※大型個体になるとアゴがカッチリとした個体が多くなる傾向が有ります。(極太系です)
今回は、昨年の夏に入荷して越冬させた天然のメスを使用しています。
本来は、天然個体の場合、入荷した年の夏から秋の初め頃までに産卵をさせるべきなのですが他の種類との兼ね合いもあり翌年の春までキープしました。
経験上、天然個体は活動後の2回目の夏(入荷した翌年の夏)を迎えてしまうとコンデイション的に厳しくなるのでこのタイミングでセットを組んでいます。
この種は、何故か成熟が早い傾向があるので新成虫の場合、6月までに羽化していれば8から9月に産卵したというご報告を過去に頂いたことがあります。
それでは、実際の方法を説明します。
●繁殖に必要な主なアイテムを紹介します。
- 飼育ケース:コバエ防止飼育ケース(中)※現在は仕様の変更があります。
- 昆虫マット:成虫用マット
- 産卵木(朽ち木):SサイズもしくはMサイズx2本
- 国産プレミアム昆虫ゼリー 他
主に朽ち木に産卵するので細くても良いので2本使用した方が効率が良くなります。
クヌギ産卵木Sサイズは、細い分だけ芯の部分が少ないのでコクワガタに最適です。
※爪がスポッと刺さるような柔らかすぎる木は、あまり適しません。
朽ち木をバケツに入れて加水します。
※木の太さにもよりますが細い朽ち木の場合は、洗面器でも十分だと思います。
朽ち木は、始めは乾燥しているので水面にプカプカと浮き上がってしまいます。
このままだと加水時間が掛りすぎるので重しをして時短すると良いです。
バケツの中の朽ち木に水を入れたペットボトルで重しをしています。
※1本で浮かび上がってくる場合は、2本(複数)使うと確実です。
勿論、過去に紹介した漬物用の重し、水を張った洗面器、レンガ(石)など、重しをして早く確実に水が染み込む様にすると良いです。
この状態で30分前後、水に漬け込んでおくと大丈夫です。
※1時間以上漬け込むと水切れが悪くなるので避けてください。
長く加水しすぎると水切れが悪くなって、セット後に飼育容器内が直ぐにベチャベチャになってカビだらけになってしまいます。
※カビは、飼育上の問題はありませんが決して気持ちが良いものでは有りません。
加水が完了後、日陰干しで水を切っている様子です。
最初に申し上げるのを忘れておりましたが雨の日は、日陰干しの際に水切れが悪くなるので晴れの日に行う事をお勧めします。
画像の様にカゴやザルの上に置いて風通しが良い場所で干した方が圧倒的に水切れが良いです。
日陰干しの時間は、気温や天候にもよりますが概ね6から8時間ほどで大丈夫です。
朽ち木の樹皮をステーキナイフで剥がします。(刃物では、無いので安全です。)
※ホームセンターなどで出品されている安価な物で大丈夫です。
樹皮は、半分だけ剥がします。
※全部剥がしてしまっても良いのですが肌色の部分は、真っ青にカビてしまう事が多く、不快に思われる方も多いと思います。
ここでは、半分だけ剥がしてカビが露出しにくい方法を紹介します。(臭い物には蓋をしてしまえ作戦です。)
次に飼育ケース(中)に成虫用マットを入れます。
ケースの約半分くらいまで入れます。
基本的にマットには、あまり産卵しないのですが少し多めに入れておいた方がベチャベチャになりにくいのでお勧めです。
割り出しまでに少し時間が掛ってしまう事が多いので衛生面に注意が必要です。
樹皮を剥がした面(肌色の部分)を下向きにして朽ち木をマットに軽く押し込みます。
さらに上からマットを少し被せて隙間を埋め込みます。
※前述のとおり、最もカビが目立ちにくい方法です。
これで産卵木のセッティングが完了です。
ペアを入れたイメージ画像です。
※天然採集品の場合は、メスのみでも産卵可能です。
繁殖品(新成虫)のペアの場合は、羽化してから3ヶ月~経過して夏を迎えた個体の方が確実だと思います。
■ケース内には、転倒防止のクヌギの落ち葉、プチエサ皿(16g用)、ブラウン黒糖ゼリー、エキストラバナナゼリーを入れています。
※餌の昆虫ゼリーは、合成保存料などが一切入っていない国産の物が産卵に最適です。
1.5から2ヵ月後に割り出す予定です。