トカラノコギリクワガタの産卵方法(産卵木の加水や埋め込み、ペアリングなども紹介)

トカラノコギリクワガタ

今回は、久しぶりにトカラノコギリクワガタの産卵セット(産卵木を容器にセットする事)を組んでみましたのでご紹介します。

奄美大島の北北西に位置するトカラ列島の悪石島以北に棲息する鮮やかなオレンジ色の種類で人気があります。

列島の温帯気候の地域だけに棲息するリュウキュウノコギリの仲間です。

※因みに悪石島と宝島との間の海に温帯と亜熱帯の気候区分の境界線があります。

勿論、真冬(1から2月)は、それなりに肌寒いので飼育方法は、本土産と殆ど同じです。

現在は、十島村の動植物は採集禁止なので現在出回っている個体は、繁殖品同士の交配品ばかりになります。

飼育温度に左右されますが活動(後食)を開始して気温が20から25℃前後で落ち着いていれば十分に産卵可能です。

因みに、未後食の新成虫を20℃以上で飼育し続けると早期活動を起こしてしまい雌雄の活動ズレでペアリングの機会が消失してしまう恐れがあります。

なので真夏の高温と真冬の過度な加温を避ける必要があります。

未後食個体は低温で越冬させて初夏から夏に掛けて繁殖させた方が良いかもしれません。

【冬眠時の推奨温度は、5から10度(未活動/未後食の個体に限る)】

温度管理なしで翌年の産卵予定の方は、気温が下がり始める秋以降の羽化個体をお求めになられる事をお勧めします。

色々と前置きが長くなりましたが実際の繁殖方法を紹介したいと思います。

トカラノコギリクワガタの産卵に必要なアイテム

今回使用する主な用品の紹介です。

●飼育容器:コバエ防止ケース(中)・・・コバエや乾燥を防ぐだけでなく深さがあるので根食い系と呼ばれ、地中に埋まった朽ちた木や根っこに卵を生み付けるノコギリクワガタに最適です。
※画像は以前販売していた物につき、現在は仕様が異なります。

●昆虫マット:産卵専用マット4リットル・・・菌床配合の完熟タイプなので生まれて来た幼虫にも効果的です。

●産卵木(朽ち木):クヌギMサイズ・・・Sサイズまたはコナラ材でも大丈夫です。

●エサ:国産プレミアム昆虫ゼリー・・・合成保存料などの添加剤が入っていないのでコンデイション維持に最適です。

作業は、晴れた日に行った方が加水した朽ち木の水切れが良くなるので飼育容器内が不衛生(べちゃべちゃ)になりにくいです。

まず、朽ち木を加水します。

先ず、朽ち木をバケツ(洗面器などでも可)に入れて加水します。

軽いので画像の様に水の上にプカプカと浮かんでしまい、そのままでは水が染み込みにくいです。

水入りペットボトルで朽ち木を押さえつけます。

そこで画像の様に水を入れたペットボトルなどを重しにして押さえ付けると時間短縮が可能です。

※石やレンガ(ブロック)など重しになる物なら何でも良いです。

当店の産卵木の場合、この状態で概ね30分前後(1時間以内)で加水が完了します。

長時間漬け込んでしまうと水切れが悪くなるので避けて下さい。

加水完了後に風通しが良い日陰で水切りを行います。

加水完了後に風通しが良い場所で日陰干しを行い水を切ります。

写真の様にカゴ(ザル)などをひっくり返して上に置くと水切れが早くなります。
※底の部分も含め全体が空気に触れますので時短できます。

概ね6から8時間程度の日陰干しで大丈夫です。

但し、風通しが悪い場所や天候が悪い日に行うとなかなか水が切れずにカビだらけになってしまいますのでご注意ください。

※カビは、一時的な物なので飼育や産卵に影響はありませんが不快に思われたり心配される方が殆どなので予め申し上げておきます。

◆当店では、午前中に加水→お昼前から日陰干し→夕方に飼育容器にセットするというパターンで作業を行っています。

水切りが終わった朽ち木の樹皮を剝がします。

日陰干しが完了したら樹皮を剥がします。

画像の様にステーキナイフを用いると安全かつ簡単に剝がせます。

※ステーキナイフは、ホームセンターなどで売っている安価なもので構いません。

朽ち木の樹皮を完全に剥がします。

後ほど説明しますが朽ち木は、マットに完全に埋め込むので樹皮は全部剥がしてしまって大丈夫です。

次に産卵マットをBeケースに入れます。

産卵用マットを飼育ケース(中)に入れてます。

このケースとクヌギMサイズを組み合わせる場合のマットの量は、ちょうど1袋(4リットル)です。

産卵マットを入れる目安

画像の様に容器の約4分目(固めない状態で)に達したら一旦、入れるのを止めて次に説明する作業を行います。

マットプレスで産卵マットを固めます。

画像は、底の部分を木製マットプレスで固めている様子です。

容器の下には、割れ防止の為に玄関マットを敷いています。

※無ければ雑誌や四つ折りにした分厚めの新聞でも大丈夫です。

固め終わった様子です。

固め終わった画像です。

容器の底の部分に暑さ3から5センチほどの圧縮された固い層が出来上がります。

根食い系と呼ばれるタイプは、この部分にも産卵しますので重要な作業です。

樹皮を剥がした朽ち木を容器に入れます。

固めた部分の上に先ほどの樹皮を剥がした朽ち木を入れます。

※1本だけの場合は、画像の様に横向きがベストですが2本使用時は縦向きにします。

残りの産卵マットを4全部入れます。

残り半分のマットを容器に全部入れます。

手で隙間にマットを押し込みます。

木と容器の間に出来た隙間を手で軽く押し込むと綺麗に埋め込めます。

ここでは、強く押し固める必要はありません。

酸欠(底腐れ)の原因になります。

トカラノコギリクワガタの産卵セットの完了です。

以上でセットの完了です!

次は、ペアリング(交配)に関する説明です。

トカラノコギリクワガタのペアリングの様子です。

オスとメスともにエサを食べ始めて活動しているペアを飼育ケース(ミニ)で交配させている画像です。

※飼育容器内には、ココパウダーマットクヌギの落ち葉ワイドカップゼリーワイドカップ専用餌皿(1つ穴)を入れています。

ペアリングは、セットを組む5日ほど前から一緒に入れたままの状態にすると良いです。

トカラノコギリクワガタも意外に気性が荒い個体が多く、過去に1匹のオスが通算で3匹のメスを真っ二つにして殺してしまった事があるので念のためアゴを園芸用のグリーン帯で縛っています。

オスのアゴ縛りペアリングについて>>

産卵セットにトカラノコギリクワガタのメスのみを入れます。

前述の方法で5日前後ペアリングをさせたメスのみをセットに入れます。

※オスは、アゴ縛りを解いてペアリングに用いたミニケースでそのまま飼育します。

◆飼育容器内には、転倒防止の為のクヌギの落ち葉と16gゼリー用エサ皿(2個)を入れてホワイト高タンパクゼリー(左)とイエロー果汁ゼリー(右)を与えています。

※エサ皿は、スペースに応じてお好みで大丈夫です。

気温や個体差にもよりますが上手くいくと1から2か月後に卵や幼虫が見え始めるので容器をひっくり返して回収を行います。

割り出しを紹介した過去のブログ記事>>>

▼実際の幼虫の割り出しの動画▼