10月も下旬になり、漸く日中の気温が夏日を下回り始めました。
今年の秋は、暑い上に雨や台風が多く、本当に過ごし難かった印象が強いです。
毎年の事ですが秋は、夏に蛹化したクワガタが羽化してくるので掘り出し作業を楽しみにしています。
今回は、9月に羽化した大型個体を少しだけ紹介したいと思います。
★現在、記事内に登場するボトルは、メーカーの終売に伴い、550cc→遮光クリアボトル500cc、850cc→遮光クリアボトル800ccへ商品の変更がございます。
画像は、2019年9月下旬に羽化したばかりの国産オオクワガタ(佐賀県千代田産)81ミリオーバーのオスです。
体に厚みがあり比較的、綺麗な個体だと思います。
やはり80ミリ台のオオクワガタを手に乗せた時の重量感は何とも言えません。
ノギスで測定してみると81.5ミリ前後です。
●エサ交換のリレーは下記のとおりです。
- 1本目(2018年7月14日、初齢):クヌギ菌糸ビン550cc(現在は、遮光クヌギ500cc)
- 2本目(2018年11月12日、終齢):クヌギ菌糸ビン850cc(現在は、遮光クヌギ800cc)
- 3本目(2019年1月14日、終齢):同上。
- 4本目(2019年5月31日、終齢):同上。
→2019年7月下旬に前蛹(蛹の直前段階)になっていたので交換無し。
2本目から3本目への交換時の幼虫は、30グラムでしたので決して大きかった訳ではありません。
本来なら3本目もしくは4本目で大きなボトルを使った方が大型化したかもしれませんが大容量の菌糸ビンを沢山使いすぎるとお客様の分の菌床や菌糸ビンの欠品が心配なので850ccボトルで引っ張りました。
※オオクワのマットボトルへの切り替え飼育は、人手不足で詰め手がいないので今年も行っていません(泣)
クヌギの菌糸ビンは、オオクワガタに抜群の効果を発揮して大きく育つので80ミリを目指す方に特にお勧めです。(添加剤は少なめです)
こちらは、夏に羽化させた70.9ミリに0.数ミリだけ及びませんが70.7ミリ前後のギネス超級のヤクシマノコギリクワガタの超特大サイズです。
※更に大きなサイズになるとアゴの太さや湾曲がド派手になると思いますので今後の楽しみが出来ました。
屋久島のノコギリクワガタは、アゴが大きく湾曲して逆三角形の綺麗な形の個体が多いので個人的に大好きな種類です。
昨年の夏に入荷した天然個体を産卵させて下記のエサ交換で幼虫飼育を行いました。
- 1本目(2018年8月25日、二齢):クヌギ菌糸ビン550cc(現在は遮光タイプ500ccへ変更)
- 2本目(2018年12月2日、終齢):無添加虫吉マットボトル850cc(現在は遮光マットボトル800cc)
- 3本目(2019年4月11日、終齢):同上。
→2019年9月3日にサナギになっていたのを確認したので4本目の交換無し。
2本目からは、いつもの様に菌糸ビンの暴れなどのトラブルを回避して大型個体を狙うためにマットボトルへ切り替えました。
1本目から2本目への交換時の幼虫の体重は、14グラムでした。
終齢時に初夏から夏に交換すると落ち着きが悪くなる事が多いので春に交換を済ませて夏の交換を省略する方法で大型個体を狙ってみました。
マットボトルとは、無添加虫吉幼虫用マットの超固詰め商品の事です。
添加剤を一切加えずに発酵させた昆虫マットにつき、思いっきり強く詰めてもボトル内で添加成分の腐敗による発酵ガスや熱が発生しないので安心です。
強く詰めておくと4ヶ月も交換しなくて済むので飼育が楽な上に交換頻度を減らす事で幼虫へのストレス痩せのリスクも減らせるので結果的に大型化しやすくなります。(虫吉幼虫用マットの説明書)
※但し、マットボトルを詰めるのは重労働なのでご注文の際は、少し余裕を持った指定でお願いします。
超固詰めに拘っていますので1人で1時間に15本前後しか詰める事ができません。
ご協力お願い致します。
こちらは、9月下旬羽化の本土ノコギリクワガタ70.9ミリ(限りなく71ミリに近い)大型個体です。
先ほどの屋久島産と比べてアゴの湾曲、リーチの長さ、太さなど少し雰囲気が異なります。
今年は、本当にノコギリの70ミリオーバーが良く羽化する一年でした。
本土ノコギリ系の亜種は殆どの種類で70ミリオーバーを乱発させてパーソナルベストも更新しました。
大型個体の共通点は、1本目をクヌギ菌糸ビン550ccに入れて2本目からはマットボトル850ccに入れて交換頻度を落とすズボラ飼育に切り替えた点です。
今回の個体は、昨年の夏に自己採集した天然のメスを産卵させて生まれた幼虫を下記のエサ交換で羽化させた物です。
- 1本目(2018年9月7日、二齢):クヌギ菌糸ビン550cc(現在は遮光タイプ500ccへ変更)
- 2本目(2018年12月24日、終齢):無添加虫吉マットボトル850cc(現在は遮光タイプ800ccへ変更)
- 3本目(2019年4月29日、終齢):同上
→8月6日に前蛹を確認したので4本目の交換無しです。
※因みに1本目から2本目への投入時の体重は、11グラムでしたがマットボトルで更に成長したと思われます。
飼育の要点は、前述のヤクシマノコギリで説明済みなので省略させて頂きます。
こちらは、9月に羽化した種子島産ノコギリクワガタの69ミリの大型個体です。
この産地ではパーソナルベストなので紹介しておきます。
分類的には、ヤクシマノコギリになるのでアゴは太めですが個体差で湾曲の強弱にバラツキがある様に感じます。
こちらの個体も昨年の夏に入荷した天然個体の子供になります。
(1回目の割り出しの際に取っておいた割りカスから出てきた幼虫です。)
●エサ交換は、下記のとおりです。
- 1本目(2018年11月23日、二齢):クヌギ菌糸ビン550cc(現在は遮光タイプ500ccへ変更)
- 2本目(2019年2月18日、終齢):無添加虫吉マットボトル850cc(現在は遮光タイプ800ccへ変更)
→2019年7月23日に前蛹を確認したので3本目の交換無しです。
乳白色の850ccのマットボトルに限り、下面通気口なので乾燥しにくいので超固詰めなら4ヶ月くらい交換無しでも大丈夫です。
(現在は、遮光クリアボトル800ccに商品の仕様が変わっております)
※少ない容量の上面通気のボトルだと上面通気なので乾燥しやすいのでズボラ飼育が厳しいかもしれません。
勿論、飼育スペースの空気循環は必要不可欠です。
上向もしくは水平方向でも構いませんので閉鎖された室内に空気の流れが出来る様にしなければボトル内に空気が行き渡りません。
部屋中の空気をかき混ぜて空気の流れが止まった状態にしない事が大切です。
これを使う様になってパーソナルベストの更新頻度が急激に上がっていますので絶対に効果があると思います。
マットボトルは、飼育ルームの涼しい場所で画像の様にサーキュレーターか扇風機の弱い風を当てた状態で2から3日ほど慣らしておくとボトル内の微生物や菌糸が早く安定します。
※ボトル詰め直後や到着したばかりのマットボトルは、環境の変化で微生物や菌糸が沢山の酸素を消費するので強制的にボトル内の空気を循環させる方法です。
(添加マットのガス抜きと異なりますのでフタを閉めたままで大丈夫です)
この作業を行った後に使用した方が幼虫のの落ち着きも圧倒的に早くなります。
虫吉では、常時4から5台のサーキュレーターをフル稼働させています。
幼虫飼育の秋に差し掛かり1本目から2本目の交換時に化け物クラスの終齢が出ていますので今後が楽しみです。
ヒラタやノコギリは最初からむしきちマットボトルで育てても大きくなりますか?
こうちゃん様
いつもお世話になっております。
コメントありがとうございます。
ノコギリとヒラタは、最初からマットボトル飼育でも大きく育ちます。
本土ヒラタの終齢で20グラムオーバー、本土ノコギリのオスで70ミリを羽化させた事があります。
虫吉では、人手や労力の関係で1本目に菌糸ビンを与え一気に終齢まで育てて時間短縮(交換回数の軽減)を行なっておりますが、余裕がございましたらマットのみの飼育も是非お試しください。
宜しくお願い致します。
ありがとうございます。むしきちマットボトル、また注文します。
こうちゃん様
いつもお世話になっております。
お返事ありがとうございます。
頑張ってお詰めしますので宜しくお願い致します。
ギネスオーバーがでたということなのですが、ギネスに申請するということはしないのですか?
毎回大きな個体を羽化させている報告が楽しみではありますが、気になったので…
元気様
コメントありがとうございます。
個人的な名声を上げるために飼育しているのでは無く、自分の高みへの挑戦とその面白さや飼育例を惜しみなく皆様にお伝えしたいと思っているだけなので申請は致しておりません。
記録とは、破られる為にある様な物なので本当に儚い物です。(破られないと進歩していない事になりますので)
勿論、このサイズも来年には破られているかもしれませんし、私ももっと大きなサイズに挑戦したいと考えております。
なのでブログ内に出てくるパーソナルベストというアスリート的な表現の方が正しいかもしれません。
※因みにお客様の中にもサラリとギネスオーバー(申請無し)や虫吉のパーソナルベストを上回る個体を羽化させておられる方もおられます。
今後とも宜しくお願い致します。