イヘヤノコギリクワガタの産卵セットの割り出し(幼虫67匹の超大爆産)の様子

イヘヤノコギリクワガタの産卵セットから出てきた幼虫

11月中旬を過ぎると流石に朝晩の冷え込みが厳しくなって来ました。

今回は、11月12日に行なったイヘヤノコギリクワガタの産卵セットの割り出しの様子を紹介したいと思います。

この種類は、沖縄本島の北部(与論島の西部)に位置する伊平屋島に生息するリュウキュウノコギリの亜種になります。

久米島、沖縄、沖永良部島産と少し異なり、内歯の第一歯と第二歯が発達して太短い力強い大アゴを持つ種類です。

産卵に必要なアイテム

産卵に必要なアイテムの参考写真です。

産卵木Mサイズx2本

産卵用マット

コバエ防止飼育ケース(中) ※現在、蓋の黒いスポンジは別売りのフィルターシールに変更。

★産卵効率をアップさせる為、餌にはホワイト高タンパクゼリーもしくはプロゼリーなどの合成保存料が一切入っていない国産の高タンパク系昆虫ゼリーを推奨します。

重しをして30分ほど水に漬け込んだ後に日陰で6時間ほど干した産卵木をマットで埋め込む産卵方法になります。

産卵方法(セットの組み方)>>

今年は、8月31日に十数ペア入荷したのですが時期的にコンディションのピークが過ぎていたので販売に至らず、良さそうなメスのみで9月上旬にニコイチ(2メス1組)の産卵セットを何個か組んでいました。

案の定、コンディションの問題もあり11月上旬までに割り出したセットは、多くても10匹ほどしか出てきませんでしたが今回紹介のラストの産卵セットのみ大爆産していました。

産卵セットをひっくり返した様子

ケースをひっくり返してみると既に無数の二齢幼虫が姿を現しました。

写真には写っていませんが側面からも沢山の幼虫が見えており、この時点で爆産が確定するレベルでした。

卵から羽化までの成長過程>>

マットの塊を少し壊した様子

マットの塊の角を少し壊してみると二齢が密集していました。

力を掛ける場所を一歩間違えると潰してしまいそうな程の密集具合でした。

マットから出てきた初齢幼虫

こちらは、マットの中から出てきた初齢幼虫です。

色が真っ黒なので産卵マットを食べて育っているのが分かります。

脱皮直後に殻を食べる二齢

こちらは、脱皮直後に自分の殻を食べる二齢です。

この行動は、完全変態の蝶などの昆虫にも見られ、食べた餌を分解吸収できる様に共生バクテリアや腸内菌を体内に効率良く取り込んだり、増やす為の行動だと言われています。

因みにクワガタの幼虫の腸内では、エサに付着した菌糸や土壌菌などの菌類を腸内細菌によって糖質に変性するスゴイ事が行われています。

※動物性タンパク質は、木屑に付着した小さな大量の微生物を食べて摂取しています。

初齢と二齢を並べた画像

初齢(上の3匹)と二齢(下の3匹)を並べた画像です。

1回の脱皮で、全くの別物と言って良いほどの大きさに育ちます。

初齢から2回の脱皮を繰り返して終齢になると更に見違える様な大きさに育ちます。

卵から羽化までの成長過程の紹介>>

産卵木から出てきた幼虫

今回は、在庫の関係で産卵木Sサイズを用いましたが画像の様に幼虫に食い尽くされていました。

割カスを保管します。

最初の1回で全ての幼虫を回収するのは困難です。

なので割り出した後のマットと朽ち木片(割りカス)は、元の容器に戻して4週間から1ヶ月ほど保管しておきます。

卵が出た場合もこの中に一緒に埋め込んでおくと勝手に孵化して育っていますので上記の期間が経過後にひっくり返すと回収可能です。

※確実に管理する為に割りカスが入ったケースには、必ず種類や産地などの情報と割り出し日を記載してください。

67匹の幼虫の割り出し結果

今回は、全部で67匹の初齢と二齢を回収しました。

この種類は、今まで育てた事が無いので、興味があります。

一時管理カップに幼虫用マットを入れて保管

一時管理用のカップには、無添加虫吉幼虫用マットを固めずに入れて保管します。

外傷や虚弱を見極める為に約5から7日ほど保管してからブナ菌糸ビン500ccもしくはマットボトル800ccに投入予定です。

カップには、1個ずつラベルやビニールテープ、マスキングテープに種類などの情報や割り出し日を記載して貼っておくと確実に管理できます。
※面倒でも匹数分のラベルを貼る必要があります。

大きく育ったら紹介したいと思います。


イヘヤノコギリクワガタの産卵セットの割り出し(幼虫67匹の超大爆産)の様子” への4件のコメント

  1. イヘヤノコギリはまだ飼育されていなかったのですね!!

    私も今年から離島ノコギリを本格的に飼育開始しました!
    イヘヤノコギリは大爆産してくれています!
    ただ、マットのみで産卵させていて一週間ごとに割り出していました。毎回の割り出しで12個ほどは回収できて現在はお亡くなりになりましたが、100近くは産んでくれました!

    ノコギリで1つのケースから40以上とれたことはないのですが、産卵木があるのとないのとではかなり変わってしまうものでしょうか?

    8月からセットしていて現在は菌糸に投入して3令に達しているので我が家の冬のみ温度管理条件でどこまで大きくなってくれるのか楽しみです(*^^*)

    • 元気様

      いつもお世話になっております。
      コメントありがとうございます。
      基本的に採集禁止種以外は、天然採集品からの繁殖をしたかったのでイヘヤノコギリも入荷のチャンスを長年待っていた種類です。
      今年の夏に偶然に入荷のチャンスがやってきた感じです。
      クメジマノコギリよりも明るい色の個体が多かったので個人的に楽しみです。

      今回のブログの様に産卵セットにメスを投入して、割り出さずに少し長めに引っ張ると一度に沢山の幼虫が出てくる確率が高くなります。
      ※天然個体だったので途中、寿命でメスが亡くなってしまいましたが繁殖品だったら長く生きるので幼虫を捕食されまくったかもしれません。

      産卵木は、使う人と使わない人で賛否が分かれますが幼虫の集団がマットのみ、朽ち木のみ、双方の3パターンで出てくるので外れのリスクを避ける為に両方使っています。
      自然界のノコギリの幼虫は、土中に埋まった朽ち木や朽ちた根っこの中にいる事が多いので少し柔らかい産卵木を使う様にしています。

      宜しくお願い致します。

  2. イヘヤノコギリの割り出し、お疲れ様です!
    遂に虫吉様にもイヘヤノコギリが登場ですか(^^)

    今まで何で取り扱いが無かったのかなと思ったら、上記の方のコメントの返答を見て分かりました。
    天然採集品からの累代、やはりこれに尽きますよね!
    昨今では、離島を中心に採集規制が多いですし、日本の本土でも一部地域で昆虫採集が禁止になったり規制が掛かったりしていて、非常に苦しい状況ですが、そんな中でも天然個体からの累代に拘っている虫吉様は流石です☆

    そう言えば、以前言っていた対馬産のキンオニクワガタの幼虫に無添加虫吉マットを使用しているのですが、全く問題無く成長しているようです!
    やはり、本土のオニクワガタと同じく成長するようです(^^)

    虫吉様の方では、今後、対馬のキンオニクワガタ、並びに奄美のアマミミヤマの取り扱いはする予定はあるでしょうか?
    キンオニクワガタは特に採集禁止種では無いですが、アマミミヤマはアマミシカクワガタやヤマトサビクワガタと同じく採集禁止種ですので、取り扱いは厳しいですかね(^^;;

    今後もお店の方、利用させて頂きますし、また面白いブログ記事も楽しみに見させて頂きますね♪

    • BUG_SHIZUOKA様

      いつもお世話になっております。
      コメントありがとうございます。

      伊平屋島のノコギリは、偶然に8月の終わりに入って来ました。
      本当は、少しだけ販売したかったのですがコンディションが心配だったので中止しました。

      アマミミヤマは、採集禁止と繁殖難易度が高い関係で既に入手が困難になっている種類ですのでご縁が無い種類かもしれません。

      キンオニクワガタも天然個体の流通量が少ないので今後も厳しいかもしれません。

      また、面白い情報があれば紹介したいと思います。

      今後とも宜しくお願い致します。

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