いよいよ5月も最終週に入り、九州北部でも日中の最高気温が25℃を超え始めました。
今回は、先日行ったヤクシマカブトムシ(屋久島、種子島産亜種)の産卵のセットの様子を紹介したいと思います。
ヤクシマカブトは、頭角(前ツノ)が少し短めで先端付近の分岐部分が発達しない亜種です。
また、本土に生息する国産カブト(「ヤマトカブト」とも呼ばれる)よりも少し小振りです。
本土産と同様に体色は、黒、赤、赤黒褐色(中間色)が存在します。
まず最初に今回の産卵で使用したアイテムを紹介します。
・ジャンボ60g昆虫ゼリー(もしくは、ワイドカップ18gでも可)
カブトムシは、大きい上に活発に動き回り、固めたマットを直ぐに掻き混ぜて緩くしてしまうので中ケースではなく、大ケースを用いています。
クワガタ同様に合成保存料が入っていない国産の高タンパク系の昆虫ゼリーが産卵に有効なので使用しています。
オスが食べやすい様に広口タイプのカップを使用していますが、爆食系なので餌切れを避ける為にジャンボ60gを使用しています。
(大きなゼリーの方が小まめな餌交換の手間を省けて楽ができるというのが本音ですが)
それでは、手順を紹介します。
まず、飼育ケース(大)に産卵マットを1袋(4リットル)を入れます。
容器の縁に貼っている白いビニールテープは、蓋を閉めた際のガタ付きを無くして、キノコバエと呼ばれる黒いコバエ入る隙間が出来ない様にする為です。
木製マットプレスで4リットルのマットを押し固めます。
カブトムシの場合でもクワガタ同様に底の部分だけを強く固めておいた方が産卵成功率が上がります。
この部分だけ少し体力を使いますが念入りに詰めておく事をお勧めします。
飼育ケースの底の割れ防止の為にゴムマット(ゴム板)を敷いています。
4リットル(1袋)をプレスし終わった時点で約5センチ前後の固めた層ができます。
1袋目を固めた層の上に2袋目の産卵用マット(4リットル)を更に入れます。
1袋目と同様に木製マットプレスで強く押し固めます。
量が多いのでモッサリとして固めにくいですが、可能な限り強くプレスしてください。
2回目のプレスが終わった時点で約10センチ前後の厚みの固めた層ができます。
なお、層の厚みは、押し込む力に個人差が大きいはずなので参考程度にお考えください。
3袋目の産卵マットを入れます。
この部分は、押し固める必要がないので1袋全部を入れる必要がありません。
適当に3から5センチくらい足す感じで大丈夫です。
表面を手で軽く押さえて平らにします。
※強く抑え付けると底の部分が酸欠を起こすので避けてください。
イメージとしては、隙間をなくす感じで軽く押す感じで大丈夫です。
マットの上にクヌギの落ち葉を適当に敷きます。
カブトムシが転倒した際の足場だけでなく、隠れ家にもなります。
可能であればフタにフィルターシールを貼る事をお勧めします。
キノコバエ侵入のリスクを避ける為に蓋にフィルターシールを貼っています。
大ケースは、大き過ぎて専用のシールがございません。
そこで中ケース用をフタの左右の端から2枚貼って中央で重なり合う様にして貼ります。
これでキノコバエ対策は万全です。
キノコバエは、昆虫ゼリーや果実などに集まるショウジョウバエ(通称、コバエ)よりも更に小さいので蓋の通気穴から侵入してしまう場合があります。
コバエ防止ケースの通気穴の部分をフィルターシールで覆ってシャットアウト(完封)するのが目的です。
※但し、産卵セットを組んでいる最中や餌交換などの開け閉めの際に侵入させてしまうと無意味になってしまうのでご注意ください。
産卵のセットのケースの中にヤクシマカブトのオスとメス(ペア)と昆虫ゼリーを入れています。
今回は、新成虫(交尾していない)につき、雌雄を一緒に入れています。
但し、国産カブトにも言える事なのですが野外品の場合は、メスが自然下で後尾を済ませていればオス無しで産卵可能です。
気温や飼育環境にもよりますが上手く行くと約1ヶ月後に幼虫が見え始めると思います。
近年の研究で日本のカブトムシのメスは、一生のうちに1匹のオスと1度だけしか交尾をせずに一生を終える事が発表されています。
※一度だけの交尾で体力が尽きるまで(死ぬまで)卵を産む事が可能だという事を意味するそうです。
因みにクワガタのメスは、産卵の為に硬い朽木や土に潜り続けて身体中が摩耗してボロボロになり、体重が軽くなっても交尾をしている姿を野外で良く見かけます。
一方、カブトムシは、そういった摩耗や産卵で軽くなったメスが交尾をしている姿を見た事がないので正しい情報だと思われます。
詳しい理由は、まだ解明されていませんが、効率良く子孫を残す為の手段の一つだと考えられています。
飼育品、野外品(採集品)に関わらず、一度交尾を済ませるとメスがオスを受け入れずに逃げ回る(オスに追いかけ回される)だけです。
卵が見えたり、追いかけ回されている姿を見かけた場合は、一旦オスを別のケースに分けて飼育していただいた方が産卵効率が上がるかもしれません。