今年も6月の昆虫シーズンに入り、野外でも少しずつクワガタの姿を見かける様になりました。
今回は、週末に行ったタカラヒラタクワガタの産卵木のセットの割り出しの様子をお伝えします。
ひっくり返した時点の見た目は、大した事がなかったのですが割り進めると大量の幼虫が出てきました。
画像は4月1日に組んだタカラヒラタの産卵木をセットした容器をひっくり返した様子です。
中心付近に小さな卵が2個、端っこに近い位置に5から6匹の初齢幼虫が見えます。
春先は、空調管理をしても朝晩の温度が下がってしまうので少し産卵効率が下がってしまいますので期待せずに割ってみました。
なお、飼育ケースから幼虫が見えているにも関わらず、親メスを同じ容器に入れたままにすると幼虫(自分の子)を捕食してしまって逆に数が減ってしまうので事前に取り出しています。
使用した飼育用品は、下記のとおりです。
・無添加虫吉産卵マット(4リットル入り)x1袋半から2袋程度
・産卵木LLサイズ(通称、爆産材)x1本
・ホワイト高たんぱくゼリーもしくは、プロゼリー(いずれも合成保存料が一切使われていない蛋白質強化配合の国産昆虫ゼリー)
産卵用マットを少しだけ砕いてみると狭いスペースの中から3匹の幼虫が出てきました。
ヒラタクワガタの仲間は、主に底の部分のマットを強く固めた層に産卵します。
勿論、孵化した幼虫も底の部分の固めた部分のマットを食べて成長します。
マットから産卵木を取り除くと4匹の初齢が溢れ落ちて来ました。
リニューアル後の無添加産卵マットは、本当によく産みます。
※マットを食べて育った幼虫は、お腹の中(腸)の透き通って見える部分の色が黒っぽく見えます。
同じく産卵木とマットの間から出て来た二齢幼虫(左)と初齢幼虫(右)です。
1回の脱皮で頭部や胴体の幅が一気に増して大きく育つ事ができます。
※卵→一齢(初齢)→二齢→三齢(終齢)→蛹→羽化とその都度脱皮を繰り返して成長します。
初齢から二齢への脱皮途中の幼虫です。
脱皮直後は、頭部や脚も真っ白な状態ですが脱皮中に徐々にオレンジ色に変わって行きます。
昆虫は、脱皮中及びその後の頭部や脚の関節などの可動部分が硬くなって動ける様になるまでは、完全無防備の状態になり、天敵に襲われやすくなります。
こういった理由でより効率良く、より早く脱皮から動ける様になる為に頭部や脚から先に脱皮が始まります。
クワガタの幼虫の場合は、お尻の先の抜け殻が完全に外れるまでに少しずつ色が濃くなってゆいますが、それでも朽ち木や土の中をスムーズに移動できる様になるまでに半日から1日くらい掛かってしまいます。
使用した朽ち木(産卵木LL)を軽く割ってみると無数の食痕と共に一気に5匹の二齢幼虫が出て来ました。(幼虫のマンション状態です。)
※先程のマットから出て来た幼虫と違って、こちらの朽ち木を食べた幼虫の腹部は、薄茶色をしています。
先程の朽ち木の反対側の面を割ってみると幼虫によって粉々に食い尽くされていました。
産卵木LLサイズは、毎年の様に数に限りがありますが、芯があっても辺材(木の外側の周辺)部分の肉質が良いのでヒラタやノコギリに適したものが多いです。
(但し、太過ぎるのでケースへの収まりが悪いですが)
更に細かく割って行くと二齢幼虫が重なり合う様に出て来ました。
道具を殆ど使わずに割れるほど朽ち木を完全に食い尽くしていました。
朽ち木の破片を更に細かく割ってみるとダメ押しの様に小さな初齢幼虫が2匹出て来ました。
恐るべし爆産材!
1回の割り出しで幼虫や卵を全部回収するのは不可能に近いです。
なので割り出した後のマットや朽ち木片(割カス)と卵は一旦、元の飼育ケースに戻して約1ヶ月ほど保管してから再びひっくり返して幼虫を回収します。
※日数を空けて2回目の割り出しを行って完全に回収するイメージです。
卵は、生きていれば1ヶ月もあれば孵化して初齢後半から二齢まで育ちます。
回収してカップや濡らしたテッシュで管理するよりも空気中や水の雑菌に侵されにくい分だけ元の土(同じ環境)の方が孵化率が高い様に感じています。
あと、産卵に用いたマットは、絶対に野外に捨てないでください。
万が一、幼虫や卵が残っていた場合に帰化してしまうと生態系や環境の破壊に繋がってしまいます。
家庭ゴミ(生ごみ)として回収に出すのが一般的なマナーです。
今回の割り出しの結果です。
幼虫54匹(初齢43匹、二齢11匹)、卵4個(左のマットが入っているカップ)を合わせて58の超大爆産でした。
※卵は、後から割カスの中に埋め込んでいます。
カップには、無添加虫吉幼虫用マットを固めずに入れて4から7日ほど養生させて二齢から優先的にマットボトル800ccまたは、ブナ菌糸ビン500ccに入れる予定です。
割り出して直ぐにボトルに入れると外傷や異常がある幼虫だった場合、すぐに死んでしまい餌のロスが発生するので数日間だけ様子を見ていただく事を推奨しています。
《菌糸ビンやマットボトルの説明》
餌は、どちらも適度に超固詰めタイプなので持ちが良いです。
見た目では分かりませんが酸欠防止の為、中央付近に通気を促す為の異なる圧の部分があります。
最初に特殊なプレス機でボトルの壁面(外側)方向に向かって強い圧を掛けて詰め、その後を手詰めで仕上げていますので幼虫が潜れない様な一辺倒に強いプレス圧が掛かっていません。