初夏の新緑の季節が近づき、里山にも昆虫の姿が増え始めました。
今回は、4月に行ったクワガタの幼虫のエサ交換で出てきた大きな幼虫をダイジェストでお伝えします。
紹介する幼虫は、すべて1本目からマットボトルのみの飼育です。※菌糸ビン不使用。
飼育温度は、23℃前後の一定です。(勿論、サーキュレーターを併用しています。)
なお、マットボトルは、最低でも使用する3日前に詰めて微生物を十分に落ち着かせた物を使用しています。
直ぐに入れると幼虫が潜らずに上に出てきて、ストレス痩せを起こしやすくなります。

4月4日の交換時に撮影したオキナワヒラタクワガタ(伊平屋島産)の丸々と太った将来有望株の終齢幼虫の画像です。
※沖縄本島から伊平屋島までは交通のアクセスが悪く(1日あたりの船の便数が少ない)、往復が過酷なので流通が少ない産地だと思います。
昨年の夏に現地採集品(ワイルド)が入荷したので産卵させてみました。(産卵方法はこちら>>)
■エサ交換のリレーは、下記のとおりです。
・1本目(2024年9月29日/二齢):マットボトル800cc
・2本目(2024年12月26日/終齢18グラム):同上

マットボトルとは無添加虫吉幼虫用マットのボトル詰め商品の事です。
無添加なので固く詰め込んでもボトル内で幼虫に有害な発酵ガスが発生しないので安心です。

体重を測って見ると何と何と26グラムもありました。
(ボトルから出した直後に糞をしてもグレートな体重です)
3ヶ月間で18グラムから一気に26グラムまで驚異的な成長をしています。
2本目から3本目への交換時にズドーンと大きく育つ事が多いです。
※伊平屋島産は、他にもいますが23から24グラムが多く、最低が22グラムでした。
ヒラタクワガタの仲間の幼虫は、2本目のマットボトルを4ヶ月間引っ張るよりも3ヶ月で交換した方が糞食によるサイズのロスが少ない様に感じます。

26グラムだとオキナワヒラタのパーソナルベスト更新の期待が膨らみますので3本目(おそらく最後の交換)は、マットボトル1400ccを使用しました。
他にも大型個体予備軍が複数いたので羽化が楽しみです。

こちらは2025年4月11日の交換時に撮影した沖縄本島のオキナワヒラタ(大宜味村産)の終齢幼虫です。
マットの粒子が粉々になる程食い尽くしており、期待大です。
昨年の夏に入荷した野外採集品(ワイルド)のメスの子供です。
■エサ交換リレーは下記のとおり。
・1本目(2024年10月13日/二齢):マットボトル800cc
・2本目(2025年1月10日/終齢16グラム):同上

体重を測ってみると24グラムでした。
1本目から2本目は、たった16グラム大きさでしたが、2本目から3本目で一気に8グラムも大きくなっています。
過去に見た事がない大きさなので温度管理を失敗しない限り、普通に考えると70ミリ級が羽化しそうな体重です。
大宜味村産のヒラタは、22から24グラムが多く、最低が21グラムでした。

将来有望株なので3本目(おそらく最終ボトル)は、マットボトル1400ccに入れました。
オキナワヒラタの2産地を紹介しましたが無添加虫吉幼虫用マットのみで今まで見た事が無い巨大サイズに育っています。
明らかに今まで行っていた菌糸ビンを用いた飼育よりも大きく育っています。
★大きく育てるポイントは、これまでの紹介のとおり、1本目から800ccのボトルを用いる事です。
※500ccのボトルにマットを詰めると高さが足りないので例え高圧のプレス機を用いても乾燥しやすくなります。
また、小容量容器だと食い上がらずに底に留まり糞食をしやすくなるので大きく育ちません。
必ず詰めた部分のマットの層の高さが10センチ以上になるボトルを用いる必要があります。
但し、菌糸ビン飼育と異なり、1本目の食い上げ時ではなく、2本目の食い上げ時に一気に大きくなる傾向があるので、見切りを付けないでください。
※2本目への交換時におチビちゃん→3本目への交換時にズドーンと巨大化しているパターンが多いです。

こちらは、2025年4月18日の3本目の交換時に撮影したアマミノコギリクワガタの20グラム超えの大きな終齢幼虫です。
昨年の夏に入荷した野外採集品のメスで産卵セットを組んで生まれた幼虫です。(過去に紹介した産卵方法の記事>>)
■エサ交換リレーは下記のとおりです。
・1本目(2024年9月15日/二齢):マットボトル800cc
・2本目(2024年12月10日/終齢15グラム):同上
ノコギリクワガタの仲間は、成虫の体長に反して幼虫がスリムでヒラタクワガタの仲間に比べて幼虫が小振りで少食です。
ノコギリクワガタの仲間の場合、3ヶ月後の交換の際に食い上がらずにマットが固いままの場合が多いです。
潰さずに掘り出す自信がない場合は、4ヶ月間引っ張って交換しても大丈夫です。

今回のアマミノコギリの交換時のボトルの底の部分のマットは、画像の様にゴロゴロとした糞が目立っています。
流石に4ヶ月以上引っ張ってしまうと糞食をしてサイズロスがあるかもしれません。

体重を測ってみると23グラムでした。
今回の2本目から3本目への交換で22から23グラムが殆どを占めていました。

アマミノコギリの場合、時々4本目が発生する事があるのですが交換時のストレス痩せのリスクを軽減する為に少ないタッチで羽化させたいところです。
こういった理由で3本目は、800ccではなく、1400ccに入れて少し引っ張ってみたいと思います。
ちなみにマットの場合、菌糸ビンよりも含水率が低いので幼虫が水膨れしません。
仮に23グラムのままで蛹化を迎えて羽化すると76から79ミリくらい、最後の一伸びがあれば80ミリ前後で羽化すると思います。
※ただし、アマミノコギリの場合、交換時のストレス痩せや大アゴの形状(直線的か湾曲タイプ)などが体長に大きく影響するので現時点では、断言できませんが。

こちらは4月25日に3本目の交換を迎えた壱岐産ノコギリクワガタの大きな終齢幼虫です。
昨年の夏に入荷した野外採集品(ワイルド)のメスから生まれた子供です。
体重は後ほど紹介しますが、本土産ノコの終齢よりも1.5倍くらい大きく育ちます。
※同じノコギリクワガタでも本土産と壱岐産では、遺伝子が大きく異なっているはずです。
■エサ交換リレーは下記のとおりです。
・1本目(2024年10月5日/二齢):マットボトル800cc
・2本目(2024年12月29日/終齢11グラム):同上
※2本目の交換は、お正月(三が日)と重なるので前倒しで行っています。

体重を測ってみると2本目からの約4ヶ月間で5グラム増の16グラムでした。
しくじらない限り、この体重で羽化時に70ミリを大きく超えてくると思います。
因みに本土産ノコギリの場合、運良く最後の一伸びがあれば、最終交換時に10グラムで70ミリ前後で羽化した事があります。

3本目も引き続きマットボトル800ccに入れました。
壱岐産は、過去に菌糸ビンからマットへの切り替え飼育で74.85ミリという際どいサイズが羽化した事があります。
(ノコギリクワガタの大型個体の羽化を紹介した過去のブログ記事>>)
今度は、マットボトルのみの飼育で75ミリを目指したいと思います。
▼次は、今回のラスボスの紹介です。

画像は、4月25日、3本目の交換時に撮影したトクノシマヒラタクワガタの大きな終齢幼虫です。
昨年の夏に入荷した野外採集品のメスの子供です。
■エサ交換リレーは下記のとおりです。
・1本目(2024年10月27日/二齢):マットボトル800cc
・2本目(2025年1月23日/終齢21グラム):同上。
※3ヶ月間で800ccボトルの表面ギリギリまで食い上がっていたので中身のマットが見事なくらい粉々でした。
糞食の心配もありましたが、体の色を見る限り、未だ伸び代がありそうな感じもします。

体重を測ってみると前回交換時よりも8グラム増の29グラムでした。
マットの場合、菌糸ビンよりも含水量が少なく、水膨れしにくいのでこの体重でも凄いかもしれません。
※因みに29グラムは、兄弟で更にもう1匹いましたが絵面が同じなので省略します。
4月に交換したトクノシマヒラタの幼虫は、平均的に見て27グラム(最低が25グラム)でした。

勿論、期待を込めて3本目は、マットボトル1400ccに入れました。
75ミリ超えの大型個体の期待が膨らみます。
今回紹介できなかったのですが、先に兄が一人で交換してしまった分でアマミヒラタの30グラムがいた様です。
こちらの羽化も楽しみです。
(マットボトルは私が事前に詰めて準備しているので800ccではなく1400ccに入れてくれたか心配ですが…)