ヒラタクワガタの幼虫飼育方法
《↑本土ヒラタ70ミリオーバー2連発の動画↑》
このコーナーでは、離島産を含む日本のヒラタクワガタ の飼育方法を紹介しています。
●推奨温度:5から25℃
※大型個体を狙う場合は、秋冬15から20℃前後、春夏20から25℃前後をお勧めします。
高温に弱いので30℃以下で管理してください。
★一般的にボトル内の温度は、外気温よりも2から3℃(場合によっては、それ以上)も高くなると云われています。
一方、最低気温は記載した温度よりも多少低くても問題はありません。
幼虫は、個体差や環境にもよりますが15℃を大きく下回ると冬眠してエサを余り食べなくなります。
冬眠中は、成長が一時的に止まりますが問題は御座いません。
※但し、氷点下での飼育はボトル内が凍ってしまいますので避けてください。
ヒラタクワガタは、大きさに似合わず成長速度が早く、気温が高いほど早く羽化して小型化する傾向があります。
その為、常温(温度管理無し)でも孵化して翌年の初夏から夏に掛けて蛹化(羽化)する事が多いです。
因に後ほど紹介する「マット飼育」「菌糸ビン飼育」共に大きく育ち、どちらの方法でも1年以内に羽化する事が殆どです。
※二年一化(二年掛けて羽化する事)の発生率は他の種類よりも遥かに低いです。
25℃を大きく超える環境は、早期羽化(幼虫期間の縮小)を招き大型個体を狙いにくい傾向があります。
大型個体を狙う場合、温度管理(冷暖房)使用時にも下記の様にサーキュレーターとの併用をお勧めします。
画像の様にサーキュレーターや扇風機を用いて空気循環を促し、ボトルの微生物やバクテリアを十分に落ち着かせてから幼虫を投入する事や投入後もボトル内に円滑に空気が取り込まれる事が重要です。
◆割り出しについて
産卵セットから出て来たヒラタクワガタの幼虫です。
傷付けない様に専用スプーンを用いて慎重に一時管理用のカップに入れると良いです。
大型個体を狙う為には、出来れば初齢もしくは二齢幼虫の段階で割り出した方が良いです。
産卵セットから割り出し採取した幼虫は、画像の様に一時管理用カップに無添加虫吉マットを固めずに入れて4から7日前後養生させます。
※割り出し時に傷付いたり、摂食障害などで成長出来なかったり死んでしまう場合もあるので見極める為の期間です。
その後、健康な二齢幼虫から菌糸ビンまたはマットボトルに入れ替えると良いです。
その際に幼虫管理ラベルに種類や日付を記載して貼っておくと今後の飼育に役立ちます。
☆幼虫の摂食障害(通称:ブヨブヨ病)について
摂食障害の幼虫 |
正常な幼虫 |
左の画像の様に体の半分以上が透き通っている幼虫は、摂食障害を起こしてしまい成長出来ずに死んでしまいます。
気になる場合は、無理に菌糸ビンやマットボトルに入れずにカップの中で様子を見ていただく事をお勧めします。
産卵セットの割り出しの遅れ等の幼虫にとって不衛生な環境が長引くと目に見えない真菌の仲間が体内に入り込んで発症率が上がってしまう事が推察されます。
■幼虫割り出し時に役立つアイテム
無添加幼虫マット |
管理用カップ |
管理ラベル |
専用スプーン |
★これから紹介する3パターンの飼育方法は、お客さまのお好みで選んでください。
手軽なマット飼育、ギャンブル性を伴う菌糸ビン飼育、当店が実際に行なっているお勧めの菌糸ビン→マットへの切り替え飼育といった感じになります。
※飼育例に乳白色のボトル(旧製品)の画像がある事がございますが現在は、茶色い遮光クリアボトル(新製品)を用いた商品のみを販売しております。
●【当店お勧め】菌糸ビンからマットへの切り替え飼育について>>>
マット飼育について
マット飼育は、エサの劣化や暴れ(菌糸の掻き混ぜ)を気にせずに低コストで気軽に飼育が出来ます。
また、羽化不全(脱皮失敗)も少ない傾向があります。
手軽でシンプルに飼育したい方に最適です。
※前述のとおり、高温に弱いので30℃を超えない環境で飼育する必要があります。
真夏でも25℃以下の環境を推奨します。
菌糸ビンに比べて加齢速度が遅い分、じっくりと大きく育ちます。
当店の無添加マットだけでも本土ヒラタの20グラムオーバーや70ミリ前後の羽化のご報告もあります。
上記の商品は、「幼虫に優しい無添加」につきボトルに固く詰めて使用しても安全です。
幼虫の年齢、雌雄、サイズに関係なく、下記のマットボトルと呼ばれるアイテムに投入します。
■超固詰めタイプ!マットボトルのご案内
マットボトル800cc |
マットボトル1400cc |
◆ご自身でボトルを詰める場合
木製プレスというボトルに強く詰める道具を用いて固く押し固めます。
時間と体力が必要ですが既にボトルをお持ちの方は、経済的に済ませる事が可能です。
固く詰めるコツは、一度に沢山のマットをボトルに入れない事です。
※園芸用スコップ2杯程度の少量ずつを何回かに分けて固めます。
■ボトル詰めの際に必要なアイテム
無添加幼虫マット |
飼育用空ボトル800cc |
飼育用空ボトル1400cc |
木製プレス |
◆投入について
穴を空けます。 |
幼虫を投入します |
専用のスプーンを用いて表面に幼虫が入る大きさに合わせて穴を空けて余分な部分は取り除きます。
特に終齢の場合、潜る際に土が盛り上がって通気口が塞がってしまう恐れが御座いますので思い切って捨ててください。
勿論、小さな幼虫の場合だと殆ど取り除く必要もありません。
終齢の場合、穴に入れると勝手に潜って行きますので埋め戻す必要は御座いません。
若齢(初、二齢)は、軽く埋め戻した方が早く潜って行きます。
投入後は、フタを閉めて涼しい静かな場所で飼育します。
また、ストレスや潰しなどの原因になりますので無闇にボトルを触ったり幼虫を掘り起こしたりしないでください。
産卵セットから割り出して間も無い若齢幼虫(初齢、二齢)に使用される場合、摂食障害の有無を見極める為に出来れば二齢幼虫で投入される事をお勧めします。(初齢の場合は、二齢までカップで育ててから)
冒頭の説明のとおり、ブヨブヨ病と呼ばれる致死率100%の病気があるので見極めが大切です。
交換のタイミングとして、基本的に蛹室(サナギになる為の空洞)を作り始めるまで3から4ヶ月に1回の頻度で行う必要があります。
大きなオスの終齢は、食べる速度が早いので糞食による痩せを避ける為に3ヶ月毎の交換をお勧めします。
マットは、良質は土壌菌(目に見えない生き物)が絶えずオガクズを分解しているので時間の経過と共に劣化します。
真冬に余り食べていなくても4ヶ月後の交換をお勧めします。
■エサの交換例について
・1本目:800cc
・2本目以降(終齢):800cc(大型のオスは1400cc。)
上記は、飼育例につき飼育環境や気温によって成長速度が異なります。
成長速度が早いので気温が高い場合、メスが2本目で蛹化してしまう場合も御座います。
冬場の常温(無加温)飼育の際は、終齢幼虫で越冬して気温が上がり始める5月以降に蛹化する場合が御座います。
初夏から夏の蛹化の時期を避けて、春先の4から5月上旬に交換を済ませてしまう事をお勧めします。
◆交換の方法について
幼虫は、振動や温度変化等のストレスに敏感なので直接手で触れたり衝撃を与えるなどの乱暴な扱いを避けてください。
強い衝撃や傷が原因で死亡してしまう事も御座います。
交換の際、専用のスプーンを用いて慎重に掘り出して移し替えると良いです。
◆蛹室について
蛹室の画像です。
空洞を作っていたらエサ交換を中止してください。
◆万が一、蛹室を壊してしまったら!!(サナギの救援策)
慌てて埋め戻したり掻き出したりせずに下記の方法を試してみてください。
※折角、羽化まであと一歩の所まで育てたので是非頑張ってください。
露天掘りについて |
人工蛹室について |
菌糸ビン飼育について
菌糸ビンとは、キノコの栽培に使用される菌床を幼虫のエサとして改良して作られた商品です。
栄養価やオガクズ、含水率など成長に最適な状態に整えられている物が多く、爆発的な大きさに育つ事が見込まれます。
また、前述のマット飼育に比べて成長速度も速いです。
近年の飼育で「大型個体の必需品」的な存在になっています。
但し、ヒラタクワガタの幼虫は、早く終齢まで育ちますが突然『暴れ』と呼ばれる菌床の掻き混ぜ行動を起こして逆に縮んでしまう場合もあります。
また、25℃を超える高温下の飼育の場合は、メスが1本目、オスが2本目で早く羽化してしまい小型化してしまう事もあります。
高温下の飼育は、小型化だけで無く、死亡や菌糸ビンの劣化を招くので25℃以下での飼育をお勧めします。
※大型個体を狙う場合は、24℃以下(理想として秋冬18から20℃前後、春夏20から23℃前後)をお勧めします。
前述のとおり、成長が早いので大型個体を狙う際は、温度管理や暴れの回避がポイントになります。
※大型個体を狙う場合、真冬の20℃を大きく超える過度な温度管理だと成長が加速して直ぐに暴れてしまい小型化のリスクが上がってしまいます。
(高温下の場合、2本目で暴れやすくなります。)
★最初の1本目の投入の適齢期は?
二齢の画像 |
終齢の画像 |
投入後の死亡によるエサのロス率を抑えるために、異常が無い健康な二齢を投入する事をお勧めします。
因に初齢や二齢は、『若齢幼虫』と称する場合も御座います。
若齢時に菌糸を食べずに育った終齢に関しては、既に成長の伸びシロが決まっているので大型化しない事が多いです。
割り出し時に終齢だった場合は、マット飼育の方が無難です。
終齢からの菌糸ビンは、暴れるだけで結果が出にくいです。
他の種類にも言えますが『 物事は最初が肝心』の言葉が当てはまります。
◆若齢幼虫の最初の1本目の菌糸ビン投入
割り出して最初の幼虫(若齢幼虫)は、小さいので菌糸ビン500ccに入れます。
※当店では、クヌギとブナの2種類の樹種が御座いますがヒラタクワガタにはブナの方が大きく育っています。
(スジブトヒラタは、どちらでも大丈夫です。)
投入の際は、専用スプーンやシャベルで端っこの部分を少しだけ削って出来た穴に幼虫を入れると自力で潜って行きます。
軽く埋め戻しても大丈夫ですが誤って幼虫を押し潰さない様にご注意ください。
幼虫を投入した後は、フタを閉めて25℃を超えない環境で飼育します。
エサ交換以外は、無闇に動かしたり掘り起こしたりしないでください。
菌糸ビンは、ボトルの中で生きたキノコの菌がオガクズを絶えず分解しており、2から3ヶ月後には、見た目は綺麗でも劣化が進んでしまいます。
従って小さな若齢と呼ばれる幼虫の菌糸ビンのサイズは、上記の2から3ヶ月で食い尽くしてしまう容量の500ccでなければなりません。
小さな幼虫をいきなり大きな容量のボトルに投入してしまうと食い尽くしてしまう前に劣化が進んでしまい効率が悪くなってしまいます。
※特に大型個体を狙う場合、1本目に大きなボトルに入れて長期間引っ張る飼育は余りお勧めしません。
■若齢幼虫(初齢、二齢)に最適な菌糸ビン
ブナ菌糸ビン500cc |
クヌギ菌糸ビン500cc |
■以降の菌糸ビンの交換例について
・1本目(二齢):500cc
・2本目(終齢):800cc
・3本目(終齢):800cc(離島産の大型のオスは1400cc)
※上記の交換パターンは、参考例につき飼育温度で大きく異なります。
例えば真夏の高温下の飼育の際は、メスが1本目、オスが2本目で蛹室(サナギになる為の空洞)を作る事が多いです。
低温飼育で成長速度が鈍化した場合に4本目以降が発生する場合も御座います。
また寒い季節に割り出した幼虫の場合、気温が下がるので1本目から2本目への交換の際に若齢のまま出て来る事もあります。
その場合は、2本目も500ccへの投入で問題ございません。
■菌糸ビンの交換タイミングについて
交換のタイミングは、画像の様に6から7割ほど白い部分が無くなった状態。
もしくは、白い部分が多くて余り食べていなくても2から3ヶ月で交換する必要があります。
従って、冬場でも余り食べていなくても中身が劣化しているので最低でも3ヶ月後の交換が必要になります。
2から3ヶ月での交換の理由として前述の『劣化』と中心だけを食い尽くして外見が真っ白のままの『居食い』と呼ばれる食べ方があるからです。
◆『居食い』についての解説
食べた形跡が全く無い居食いのボトル |
中心部分を綺麗に食い尽くしています |
★1本目→2本目以降の交換について
因に2本目は、基本的に終齢(頭部のオレンジ色の部分が7ミリから1センチ前後)になっている事が多いので雌雄を問わず、800ccでも大丈夫です。
但し、気温が低い秋から冬に掛けて1本目に投入した際は、二齢幼虫のままの可能性も御座います。
外見で幼虫の年齢を判断出来る様でしたら再び500ccでも構いません。
離島産の大型亜種の大きなオスの終齢は、菌糸ビン1400ccでチャレンジしても面白いかもしれません。
ボトルの通気口が大きいので幼虫の落ち着きが早く暴れにくいです。
■終齢幼虫に最適な菌糸ビン
ブナ菌糸ビン800cc |
クヌギ菌糸ビン800cc |
ブナ菌糸ビン1400cc |
クヌギ菌糸ビン1400cc |
◆幼虫を取り出す際の注意点
交換の際は、専用スプーンを用いて慎重に行います。
幼虫は、衝撃や温度変化等のストレスに敏感なので直接手で触れたり、落下させるなど乱暴な扱いをしてしまうと傷が原因で死亡してしまう事も御座います。
潰さない様に交換用スプーンを用いて慎重に掘り出したり移動させると良いです。
◆終齢の投入について
交換の際は、専用スプーンかシャベルで端っこの部分を幼虫が入る大きさに削り取ります。
出来た穴に幼虫を入れると自力で菌糸ビンに潜って行きますので投入後は、フタを閉めて出来るだけ涼しい場所で飼育します。
終齢幼虫は、若齢幼虫よりも更にデリケートなので投入直後の急激な温度上昇は、『暴れ』と呼ばれる菌糸ビンの掻き混ぜの原因になってしまいます。
※菌糸ビンは、飼育下の気温で1から3日ほど温度慣らしを行って投入直後の1週間は、少し気温を落とした環境が最適です。
特に野外で1年で羽化して直ぐに活動を開始するとされる『スジブトヒラタ』は、成長速度が異常に早く2本目への交換直後に暴れ始める事があるので注意が必要です。
●終齢幼虫まで育っていると雌雄の判別が可能になっている事が多いので管理ラベルに性別を記載しておくと以後のエサ交換や管理に役立ちます。
◆幼虫の雌雄の判別法
・オスの終齢 お尻から腰に掛けて斑紋がありません |
・メスの終齢 後部に左右一対の斑紋(雌班)あり。 |
菌糸ビンで暴れた幼虫の画像。 主に終齢幼虫の後半(成熟期)の蛹室を作り始める直前に発生しやすくなります。 グルリと周囲を掻き混ぜる様に動き回って白い部分が無くなってしまいます。 放置すると小型化したり水っぽくなってしまい羽化不全の危険性が高くなります。 |
暴れた際は、後半で説明する菌糸ビン→マットへの切り替え飼育をお勧めします。
※その際に使用する【無添加虫吉幼虫マット】は、切り替え飼育に対応する為に数万匹単位の飼育を元に研究、進化させ続けている商品です。
◆ 菌糸ビンの蛹室
菌糸ビンの中のサナギの画像です。
サナギになる数週間前から終齢幼虫は、画像の様な空洞(蛹室)を作り始めます。
蛹室と思われる空洞を作っていたら交換を避けて様子を見てください。
蛹室を壊してしまうと羽化出来なくなる恐れが御座いますので十分にご注意ください。
◆万が一、蛹室を壊してしまったら!!(蛹室崩壊時の救援策)
慌てて埋め戻したり掻き出したりせずに下記の方法を試してみてください。
※折角、羽化まであと一歩の所まで育てたので是非頑張ってください。
蛹室の露天掘りについて |
人工蛹室の作り方について |
ご自身で菌糸ビンをお詰めになられる場合
菌糸ビン飼育の説明のコーナーで紹介した各菌糸ビンは、ご自身でお詰めいただく事も可能です。
但し、詰める強さや温度によっては、菌が回らない(白くならない)というリスクも御座いますので初めての方や菌糸を回す為の温度管理ができない場合には余りお勧め出来ません。
菌糸ビンの『飼育温度』と『菌を回す温度』は、全く異なります。
具体的には、菌が回って白くなってしまえば少々の温度変化(低温や高温)でも問題ありません。
但し、菌床を砕いて菌を回す(二次発菌)場合は、菌糸ビンを白くするために必要な温度や詰め方が必要になります。
菌糸ビンを詰めて白く発菌させる為の推奨温度は、20から24℃です。
20℃を下回るほど白くなるのに時間が掛かります
したがって真冬の寒い状態では、菌が回らずに終わってしまう恐れも御座います。
また、25℃以上の環境の場合、菌が回らずにカビてしまう事も予想されます。
真夏の高温下での作業は、菌糸が回る際の発菌温度も高くなってしまい菌が死滅して白くならない場合があるのでご注意ください。
◆菌糸ビンのボトル詰めについて
クワガタ用の(ハンド)マットプレスという道具を用いて砕いた菌床をボトルに詰めて蓋を締めます。
温度や詰め方に不備が無ければ概ね3から7日後には真っ白になります。
※ヒラタの仲間の終齢幼虫は、10日ほど経過してからの投入の方が落ち着きが良くなります。
■菌糸ビン詰めに必要なアイテム
ブナ菌床ブロック |
クヌギ菌床ブロック |
飼育用空ボトル500cc |
飼育用空ボトル800cc |
飼育用空ボトル1400cc |
木製プレス |
菌糸ビンからマットへの切り替え飼育について
これから紹介する飼育方法は、当店が実際に行っている飼育方法です。
双方の『いいとこ取り』で虫吉が最も得意としている飼育方法です。
ヒラタクワガタの場合、双方の飼育方法で下記のメリットとデメリットがあります。
・菌糸ビン飼育のメリット:成長が早く巨大な終齢幼虫を育てる事も可能
・デメリット:コストが高い。終齢幼虫の投入では結果が得られないタイミングがある。直ぐに暴れやすい(逆に小型化する確率が高い)
・マット飼育のメリット:エサの持ちが良い、低コスト、羽化不全が少ない、暴れの心配が無いなど。
・デメリット:成長が遅く、大型個体作出に必要な巨大な終齢幼虫(巨頭の大型オスの幼虫=通称:ビッグヘッド)を得られにくい。
上記のメリットとデメリットを考察するとヒラタクワガタの幼虫は、若齢(二齢)までに菌糸ビンに投入しなければ大型個体を得られにくい。
反面、終齢幼虫の育ち切った状態で菌糸ビンに入れると『暴れ(菌床の掻き混ぜ)』を起こしてしまい小さくなってしまうリスクが高くコストと結果が釣合わない確率があがる。
結論から申し上げると菌糸ビン飼育で大型化する条件を満たした幼虫に育っていれば後は、ストレスが少ない『無添加虫吉マット』での飼育で問題無いと言う事になります。
上記の商品は、切り替え飼育に対応する様に菌床を強化配合した無添加でも大きく育つ様に研究開発しています。
発酵ガスが発生しない上に劣化が遅いので幼虫へのストレスを軽減できます。
■切り替え時の交換例
・1本目(二齢幼虫):菌糸ビン500cc
・オスの2本目:菌糸ビン800ccもしくは1400cc
・メスの2本目及びオスの3本目:マットボトル800cc(離島産の大型のオスは1400cc)
基本的に終齢幼虫まで育っていれば、雌雄に関係なく2本目から切り替えても大型個体が羽化しています。
※3本目の菌糸ビンは、ギャンブル性を伴いますので自己判断でお願いします。
上記の交換例は、参考であり温度や幼虫の成長具合で大きく異なる場合があります。
交換直後に暴れ(菌床の掻き混ぜ)を行ったらマットへの切り替えで問題無いです。
朝晩や季節に関係なく20℃以上の一定の温度管理や真夏の高温下の飼育の場合は、成長が早まるので2本目もしくは3本目で暴れて直ぐに蛹化してしまう事もあります。
●温度管理(夏の冷房、冬の暖房)の飼育の場合は、2本目の菌糸ビンを2ヶ月経つか経たないかで切り捨ててマット飼育に切り替えると暴れる前にマットで蛹化させるベストなタイミングになる事が多い。
●無加温飼育(冬が寒く夏が高温)の場合は、春から初夏(4から5月に掛けて)の最後のエサ交換でマット飼育へ切り替えて蛹化させるという方法が良いかもしれません。
幼虫は蛹化が近付くと徐々に黄色みが強くなるので画像を目安にしてみてください。
ヒラタクワガタの幼虫は、加齢速度も速いので画像よりも少し手前の段階(微妙に黄色みを帯び始める頃)の菌糸ビン投入で暴れやすくなってしまいます。
菌糸ビン飼育やマット飼育の説明でもお伝えしておりますがエサの種類に限らず、交換直後の高温下の飼育は極端に幼虫の落ち着きが悪くなってしまうので少し温度が低い涼しい場所へ移動させるか温度を下げるなどの工夫が必要です。