ノコギリクワガタの幼虫飼育方法
1本目:ブナ菌糸ビン550cc→2本目:マットボトル850ccの切り替え飼育で羽化したトカラノコギリ70ミリ、驚きの4連発の動画。
1本目:クヌギ菌糸ビン550cc→2本目:マットボトル850cc→3本目:マットボトル850ccの交換リレーで羽化したノコギリクワガタ(壱岐産)70ミリ超え、驚きの4連発の動画。
このコーナーでは、離島産を含む日本のノコギリクワガタ の飼育方法を紹介しています。
国産種であれば飼育方法は、殆ど同じです。
★大型個体作出の為のポイントがあれば、その都度ご紹介します。
●幼虫の飼育温度:5から25℃(真夏の高温に注意してください。)
成長を促す為(大型個体作出)の推奨飼育温度として秋冬は10から18℃前後、春夏は20から24℃前後をお勧めします。
前述のとおり、真夏の30℃を超える高温環境で死亡しやすいので必ず冷房が効いた部屋で飼育してください。
★一般的に菌糸ビン、マットを問わずボトル内の温度は、外気温よりも2から3℃(場合によっては、それ以上)も高くなると云われています。
※一方、最低気温は記載した温度よりも多少低くても問題はありません。
幼虫は、個体差や環境にもよりますが15℃を大きく下回ると冬眠してエサを余り食べなくなります。
冬眠中は、成長が一時的に止まりますが問題は御座いません。
※但し、氷点下での飼育はボトル内のマットや菌床が凍ってしまいますので避けてください。
基本的に本土に生息するノコギリクワガタは、夏場の冷房管理のみで真冬の加温無しでも大型個体を育てる事が可能です。
加温飼育の際は、急激な温度の上昇で幼虫の落ち着きが悪くなって上に出て来てしまい羽化不全や蛹化不全のリスクが上がります。
真夏の高温下の飼育の際も同じです。
真冬のエアコン以外の方法での加温の際(簡易温室など)は、温度が安定せずに異常加熱のリスクが上がるので温度を低めに保つなど自己責任で行ってください。
大きさの割りに幼虫の成長速度が遅く秋以降に割り出した幼虫を常温(10度以下の低温)で飼育すると冬眠してしまい二年一化(2年掛けて羽化)の発生率が上がります。
但し、幼虫期間が長くなる分だけ巨大化する確率が高くなるメリットがあります。
他の種類に比べると明らかに成長速度が遅く、幼虫も小さいです。
成虫は、細身の体型なので国産ノコギリでしたら終齢幼虫の8から10グラム前後のオスでも普通に60ミリを超えて70ミリに迫るサイズで羽化する事があります。
※因にトカラノコギリやアマミノコギリなど離島産の大型亜種でも16から20グラム前後の体重で70ミリを大きく超える成虫が羽化する事が多いです。
因に後ほど紹介する「マット飼育」でも大きく育ちます。
「菌糸ビン飼育」の場合は、若齢(初齢、二齢)から終齢幼虫への成長速度が速いですが2本目もしくは、3本目で菌糸ビン投入時に『暴れ(菌床の掻き混ぜ)』を起こして小さくなってしまう事が多いです。
ノコギリクワガタは、終齢まで育つと菌糸ビンよりも【マットの方が大きく育つ種類】です。
したがって菌糸ビン→マットへの切り替え飼育が最も大型個体が羽化しやすいのでお勧めです。
※それぞれの飼育方法の詳細は後ほど説明します。
特にノコギリクワガタの仲間は、終齢幼虫で新しいボトルに入れ替えた際に潜らないという事が多くなります。
マットや菌糸ビンは、到着後に必ず箱から出して飼育環境で最低でも3日ほど慣らしてから幼虫を入れてください。
ご自身でマットをお詰めになられる場合は、詰めてから3日ほど経過してから使用してください。
真夏の25℃を大きく超える環境は、早期羽化(幼虫期間の縮小)を招き大型個体を狙いにくくなります。
また終齢幼虫での高温下での飼育は、エサの種類に関わらず、交換直後の落ち着きが悪くなり潜らずに上に出てくるので避けてください。
画像の様にサーキュレーターや扇風機を用いて空気循環を促し、ボトルの微生物やバクテリアを十分に落ち着かせてから幼虫を投入する事が重要です。
◆産卵セットから割り出した幼虫について
産卵セットから出て来た幼虫です。
幼虫は、傷を付けない様に専用スプーンを用いて慎重に一時管理用のカップに入れると良いです。
大型個体を狙う為には、出来れば若齢幼虫(初齢、二齢)の段階で割り出す事をお勧めします。
長期間割り出さずにいると親メスによる捕食などで数が減ってしまう事があります。
産卵セットから割り出し採取した幼虫は、画像の様に一時管理用カップに無添加虫吉マットを固めずに入れて4から7日前後養生させてからボトル(菌糸ビンまたはマットボトル)に入れ替えると良いです。
※割り出し時に傷付いたり、摂食障害などで成長出来なかったり死んでしまう場合もあるので見極める為の期間です。
・幼虫管理ラベルに種類や日付を記載して貼っておくと今後の飼育に役立ちます。
摂食障害の幼虫 |
正常な幼虫 |
左の画像の幼虫の様に体の半分以上が透き通っている幼虫は、摂食障害を起こしてしまい成長出来ずに死んでしまいます。
気になる場合は、無理に菌糸ビンやマットボトルに入れずにカップの中で様子を見ていただく事をお勧めします。
産卵セットの割り出しの遅れ等の幼虫にとって不衛生な環境が長引くと雑菌の発生やバクテリアの異常で発症率が上がってしまう事が推察されます。
■幼虫割り出し時に役立つアイテム
>>無添加虫吉幼虫マット |
>>幼虫管理用カップ |
>>幼虫管理ラベル |
>>幼虫エサ交換用スプーン |
★これから紹介する3パターンの飼育方法は、お客さまのお好みで選んでください。
手軽なマット飼育、ギャンブル性を伴う菌糸ビン飼育、当店が実際に行なっているお勧めの菌糸ビン→マットへの切り替え飼育といった感じになります。
※飼育例に乳白色のボトル(旧製品)の画像がある事がございますが現在は、茶色い遮光クリアボトル(新製品)を用いた商品のみを販売しております。
●【当店お勧め】菌糸ビンからマットへの切り替え飼育について>>>
マット飼育について【手軽なのでお勧め】
マット飼育は、菌糸ビン飼育と異なり『菌糸のコンディション(劣化)』や暴れ(菌床の掻き混ぜ行動)を気にせずに低コストで気軽に飼育が出来ます。
またノコギリクワガタの仲間の幼虫は、終齢幼虫になると菌糸を嫌がって潜らなかったり、暴れてしまい羽化不全(羽化の失敗)があるのでマット飼育の方が手堅く飼育出来ます。
手軽にかつシンプルに飼育したい方、菌糸ビン飼育で『暴れ(菌床の掻き混ぜ)』を避けたい場合の飼育に最適です。
※前述のとおり、幼虫は高温に弱いのでマット飼育の際も死亡防止の為に30℃を超えない環境で飼育する必要があります。
出来れば真夏でも25℃以下(冷房)を推奨します。
マットなら高温でも大丈夫と思っておられる方も多いので念の為、記載しておきます。
本土産の場合は、冬場の過度な加温を避けて自然の温度環境に近付けてあげた方が幼虫が落ち着いてくれます。
寒い時期に無理に加温してしまうと上に出てくる場合があります。
※真冬は20℃を大きく超えない様にしてください。
ノコギリクワガタに関して言えば、マット飼育のみでも大型個体を育てる事が可能です。
割り出し時に既に終齢幼虫だった場合は、菌糸ビン飼育で結果が得られない場合が多いのでマット飼育をお勧めします。
幼虫の年齢(二齢、終齢幼虫)、雌雄(性別)に関係なく、下記の「マットボトル」と呼ばれるボトルに幼虫専用マットを固く詰めた物に投入する飼育方法です。
★当店の幼虫マットは、「幼虫に優しい無添加」につきボトルに固く詰めて使用しても安全です。
但し、他社様の添加剤配合マットを使用された際の再発酵によるアンモニア等のガスや発熱による幼虫のトラブルに関しましては自己責任でお願いします。
■超固詰めタイプ!マットボトルのご案内(初めての方、マットを詰めるお時間が無い方に最適です。)
>>虫吉マットボトル800cc 基本的にこれで大丈夫! |
>>虫吉マットボトル1400cc アマミノコギリのオスの終齢に最適! |
◆ご自身でボトルにマットを詰める場合
「マットプレス」というボトルにマットを強く詰める道具を用いて固く押し固めます。
時間と体力が必要ですが既にボトルをお持ちの方は、経済的に済ませる事が可能です。
固く詰めるコツは、一度に沢山のマットをボトルに入れない事です。
※少しの量を何回かに分けて固めます。
■マットボトル作成の際に必要なアイテム
>>無添加虫吉幼虫マット |
>>幼虫飼育ボトル800cc |
>>幼虫飼育ボトル1400cc |
>>木製マットプレス |
◆幼虫のマットへの投入について
マットボトルは、到着後または詰めてから3日ほど飼育環境で慣らしてから幼虫を入れてください。
環境の変化で微生物やバクテリアが安定するまで待ってから使用しなければ幼虫の落ち着きが悪くなって上に出てきてしまいます。
交換用スプーンを用いて穴を空けます。 |
交換用スプーンを用いて幼虫を投入します |
マットは、幼虫が入る大きさに合わせてスプーンで穴を空けて余分なマットは取り除いてください。
※特に終齢幼虫の場合、潜る際にマットが盛り上がって通気口が塞がってしまう恐れが御座いますので思い切って捨ててください。
(勿論、小さな幼虫の場合だと殆ど取り除く必要もありません。)
終齢幼虫の場合、穴に入れると勝手に潜って行きますので埋め戻す必要は御座いません。
若齢幼虫(二齢まで)は、軽く埋め戻した方が早く潜って行きます。
投入後は、フタを閉めて涼しい静かな場所で飼育します。
また、エサ交換以外に無闇にボトルを触ったり幼虫を掘り起こしたりしないでください。
幼虫が潜らない場合は、画像の様に蓋を閉めたままで構いませんので3日ほどボトルに風を当ててみてください。
ボトル周辺の空気が動く事でボトル内の微生物にも空気が行き渡りやすくなります。
産卵セットから割り出して間も無い若齢幼虫(初齢、二齢)に使用される場合、摂食障害の有無を見極める為に出来れば二齢幼虫で投入される事をお勧めします。(初齢の場合は、二齢までカップで育ててから)
マット交換のタイミングとして、基本的に蛹室(サナギになる為の空洞)を作り始めるまで3から4ヶ月毎の交換の必要があります。
少しズボラ気味の交換でも大丈夫です。
但し、終齢幼虫での気温が上がり始める季節(概ね4月中旬から8月)の交換の際は、エサの種類を問わず環境の変化で幼虫が落ち着かなくなったり潜らなくなって上に出て来るトラブルの発生率が上がります。
初めての方で良く分からない場合、エサ交換が4月に終わる様に「3ヶ月後の交換」「4ヶ月後の交換」を上手く組み合わせて調整すると良いです。
マットは、良質は土壌菌(目に見えない生き物)が絶えずオガクズを分解しているので菌糸ビン同様に時間の経過と共に劣化します。
余り食べていなくても4ヶ月後の交換をお勧めします。
■マットの交換例について
※大きさや雌雄に関係なく基本的に800ccのボトルを3から4ヶ月に1回の交換で問題ありません。
- 1本目:800cc
- 2本目:800cc
- 3本目以降:800cc(アマミノコギリの大型のオスの終齢は1400ccでも可。)
上記は、飼育例につき飼育環境や気温によって成長速度が異なります。
基本的に成長速度が遅い傾向がありますが気温が高い場合、2から3本目で蛹化してしまう場合も御座います。
大きなオスや低温での飼育の際は、4本目以降の交換が発生する場合も御座います。
飼育温度や幼虫の成長具合にもよりますが羽化迄に2年掛かる事もあります。
※特に大型のオスが羽化迄に時間が掛かる傾向があります。
オオクワやヒラタに比べて幼虫が小さいの外見から幼虫の姿が確認出来ない事が有りますが元気に生きている事が殆どです。
冬場の常温(無加温)飼育の際は、余り食べずに越冬して気温が上がり始める5月以降に成長や蛹化が始まる場合が御座います。
※【蛹室】と呼ばれるサナギの部屋を作り始めるまで3から4ヶ月ごと にマットを交換するという単純作業で大丈夫です。
冒頭でもお伝えしましたが成長が遅いので、1年目で羽化しない事もあり二年一化(2年目で羽化)の発生率が高いです。
その場合も根気づよく3から4ヶ月毎の交換の必要があります。
◆幼虫のマット交換の方法について
幼虫は、衝撃や温度変化等のストレスに敏感なので直接手で触れたり衝撃を与えるなどの乱暴な扱いをしてしまうと傷が原因で死亡してしまう事も御座います。
交換用スプーンを用いて慎重に掘り出したり移動させると良いです。
蛹室の画像です。
空洞を作っていたらエサ交換を中止してください。
◆万が一、蛹室を壊してしまったら!!(蛹室崩壊時の救援策)
慌てて埋め戻したり掻き出したりせずに下記の方法を試してみてください。
※折角、羽化まであと一歩の所まで育てたので是非頑張ってください。
蛹室の露天掘りについて |
人工蛹室の作り方について |
菌糸ビン飼育について【お勧めしません】
★菌糸ビン飼育は、マット飼育と共に一般的な飼育方法ですがノコギリクワガタの場合、終齢幼虫時に潜らなかったり、暴れを起こしたりトラブルが多いです。
当店ではお勧めしていない飼育方法ですが一般的な飼育例のみを紹介します。
菌糸ビンとは、キノコの栽培に使用される菌床を幼虫のエサとして改良して作られた商品です。
栄養価やオガクズ、含水率など成長に最適な状態に整えられている物が多く、マット飼育に比べて早い成長が見込まれます。
但し、菌床の鮮度が2から3ヶ月しか持たない事や菌床の劣化を防ぐ為に20から24℃で飼育する必要があるなど、少し気をつける点が多いのも事実です。
近年の飼育で菌糸ビンは、「大型個体の必需品」的な存在になっていますが、ノコギリクワガタの場合、終齢での暴れ(菌床の掻き混ぜ)を行ってしまい逆に縮んでしまう場合もあります。
※25℃を超える環境での飼育の場合は、成長が早まり2本目もしくは3本目で高確率で暴れてしまう事もあります。
高温下の飼育は、早熟に伴う「菌糸ビンの暴れ」だけで無く、菌糸ビンの劣化を招くので出来るだけ涼しい環境での飼育をお勧めします。
※大型個体を狙う場合は、25℃以下(理想として18から22℃:冬眠せずに菌糸を食べる温度)をお勧めします。
真冬が寒い環境だと食べずに冬眠して成長が止まってしまい菌糸ビンだけが劣化するので温度管理の環境が無い場合は「マット飼育」もしくは、「菌糸ビン→マットへの切り替え飼育」をお勧めします。
国産ノコギリと同亜種は、真冬の過度な加温を避けて常温に近い気温の方がトラブルが少ないです。
※何度も申し上げておりますとおり、ノコギリの終齢は、暴れて大きくなりにくいので個人的に菌糸ビンが勿体無いと思います。
最初からマット飼育もしくは、2本目からマット飼育への切り替えをお勧めします。
ノコギリクワガタの幼虫は、地中の根っこなどの腐植土に生息している為か終齢になると菌糸ビンに適応しにくいです。
菌糸ビンをゴリ押しした飼育だと少し早く羽化する程度でサイズが出にくいのでコストパフォーマンスが落ちて『時間を買っている程度』で終わってしまう事が多いです。
暴れたらマット飼育でも大丈夫ですが、暴れる前に「マット飼育へ切り替え」の方が大型個体が狙いやすいのも事実です。
★最初の1本目の菌糸ビン投入の適齢期は?
二齢幼虫の画像 |
終齢幼虫の画像 |
冒頭にお伝えしたとおり、摂食障害(ブヨブヨ病)の幼虫を見極める為に出来れば二齢まで育った健康な幼虫を菌糸ビンに投入される事をお勧めします。
因に初齢や二齢幼虫は、『若齢幼虫』と称する場合も御座います。
終齢幼虫に関しては、既に成長の伸びシロが決まっているので大型化しない事が多く、マット飼育の方が無難です。
終齢での菌糸ビン飼育は、『暴れ(菌床の掻き混ぜ)』や潜らないなどの原因によるサイズの縮小のリスクもあります。
ノコギリクワガタの菌糸ビン飼育は、他の種類に比べて投入や交換のタイミングが難しいのも事実です。
◆若齢幼虫の最初の1本目の菌糸ビン投入
菌糸ビン用シャベルで表面に穴を空けます。 ・>>菌糸ビン専用シャベルはコチラ! |
交換用スプーンで幼虫を穴に入れます。 ・エサ交換用スプーンはコチラ! |
割り出して最初の幼虫(若齢幼虫)は、小さいので菌糸ビン500ccに入れます。
★当店では、クヌギとブナのオオヒラタケの菌糸ビンが御座いますが下記の使用をお勧めします。
・クヌギ…国産ノコギリ(離島産も含む)及び亜種(屋久島、種子島、口永良部島、黒島、三島硫黄島)、八重山ノコギリ。
・ブナ…リュウキュウノコギリの仲間(トカラ、奄美、徳之島、沖永良部、久米島、沖縄、伊平屋島)
※リュウキュウノコギリの仲間のオスは、頭楯(とうじゅん)と呼ばれる左右のアゴの間の突起部分の先端が二股に分かれて前方に突き出すのが特徴です。
菌糸に空ける穴は少し深めにしておくと投入した幼虫は、自力で潜って行きます。
軽く埋め戻しても大丈夫ですが誤って幼虫を押し潰さない様にご注意ください。
幼虫を投入した後は、菌糸ビンのフタを閉めて出来る限り涼しいの環境(出来れば24℃以内)で飼育します。
エサ交換以外は、無闇に動かしたり掘り起こしたりしないでください。
菌糸ビンは、ボトルの中で菌糸が生きている状態(生き物)なので絶えず菌糸によるオガクズの分解が進んでおり2から3ヶ月後には、見た目は綺麗でも劣化が進んでしまいます。
従って小さな若齢と呼ばれる幼虫の菌糸ビンのサイズは、上記の2から3ヶ月で食い尽くしてしまう容量でなければなりません。
小さな幼虫をいきなり大きな容量の菌糸ビンに投入してしまうと食い尽くしてしまう前に劣化が進んでしまい効率が悪くなってしまいます。
※特に大型個体を狙う場合、1本目に大きなボトルに入れて長期間引っ張る飼育は「暴れ」だけで無く「糞食」や「食い止まり」を起こしてしまう事があるので余りお勧めしません。
■若齢幼虫(初齢、二齢)に最適な菌糸ビン
クヌギ菌糸ビン500cc |
ブナ菌糸ビン500cc |
■菌糸ビンの交換例について
- 1本目(二齢幼虫):500cc
- ・2本目以降(終齢幼虫):800ccもしくは、1400cc(アマミノコギリの大型のオスの幼虫飼育に最適です。)
※上記は、参考例です。
2本目の交換の際は、マットへ切り替えていただいても構いません。
気温が低い場合は、1本目から2本目への交換の際に若齢のまま出て来る事もあります。
その場合、500cc、800ccのどちらへ投入しても問題ございません。
ノコギリクワガタは、地中の朽ち果てた根っこや腐葉土化した朽ち木に生息している事から「根食い系」「泥食い系」と呼ばれます。
終齢幼虫になると菌糸ビンを突然嫌がって暴れるので要注意です。
万が一、暴れたら即 虫吉マットでの飼育で大丈夫です。
■菌糸ビンの交換タイミングについて
エサ交換のタイミングは、画像の様に6から7割ほど白い部分が無くなってからか白い部分が多くて余り食べていなくても2から3ヶ月で交換する必要があります。
冬場だけで無く、暖かい季節でも菌糸ビンを余り食べ無いままの場合も御座いますが菌床が劣化しているので最低でも3ヶ月後の交換が必要になります。
2から3ヶ月での交換の理由として前述の『菌糸の劣化』と中心だけを食い尽くして外見が真っ白のままの『居食い』と呼ばれる食べ方があるからです。
◆『居食い』についての解説
外見上は、食べた形跡が全く無い菌糸ビン 投入から約3ヶ月経過 |
菌糸ビンの上の方をスプーンで掘った様子 中央だけ綺麗に食い尽くしています。 |
★1本目→2本目以降の交換について
因に2本目は、基本的に終齢幼虫(頭部のオレンジ色の部分の大きさが5ミリから10ミリ前後)になっている事が多いので雌雄を問わず、菌糸ビン800ccでも大丈夫です。
★前述のとおり、暴れのリスクが高いのでマットボトルへの切り替えをお勧めします。
但し、気温が低い秋から冬に掛けて1本目に投入した際は、二齢幼虫のままの可能性も御座います。
外見で二齢を判断出来る様でしたら再び500ccでも構いません。(勿論、マットボトルでも大丈夫す。)
■終齢幼虫に最適な菌糸ビン
>>ブナ菌糸ビン800cc |
>>クヌギ菌糸ビン800cc |
>>ブナ菌糸ビン1400cc |
>>クヌギ菌糸ビン1400cc |
菌糸ビン1400ccは、通気口が大きいので幼虫の落ち着きが良いので、離島産の大型亜種のオスの終齢に使用されても面白いかもしれません。
◆菌糸ビンから幼虫の取り出す際の注意点
幼虫の菌糸ビン交換は、エサ交換専用スプーンを用いて慎重に行います。
幼虫は、衝撃や温度変化等のストレスに敏感なので直接手で触れたり衝撃を与えるなどの乱暴な扱いをしてしまうと傷が原因で死亡してしまう事も御座います。
幼虫の圧迫に注意しながら交換用スプーンを用いて慎重に掘り出したり移動させると良いです。
◆終齢幼虫の菌糸ビン投入について
専用シャベルで大きめの穴を空けます。 ※幼虫の大きさに合わせてくり抜きます |
交換用スプーンを用いて投入します。 ストレスを与えない様に慎重に行います |
交換する菌糸ビンは、全く同じ菌種であれば問題無いのでクヌギかブナの樹種に関してはお好みで大丈夫です。
例)1本目クヌギ→2本目ブナなどの交換もOK!【当店で検証済み】
なお、自力で菌糸ビンに潜って行きますので投入後は、フタを閉めて出来るだけ涼しい場所で飼育します。
終齢幼虫は、若齢幼虫よりも更にデリケートなので投入直後の急激な温度上昇は、『暴れ』と呼ばれる菌糸ビンの掻き混ぜの原因になってしまいます。
※菌糸ビンは、飼育下の気温で1から3日ほど温度慣らしを行って投入直後の1週間は、少し気温を落とした環境が最適です。
交換直後の急激な環境の変化で幼虫が落ち着かずに縮んでしまう事が多いので大型個体を狙う為には注意が必要です。
●終齢幼虫まで育っていると雌雄の判別が可能になっている事が多いので管理ラベルに性別を記載しておくと以後のエサ交換や管理に役立ちます。
◆終齢の雌雄の判別法
・オスの幼虫 お尻から腰に掛けて斑紋がありません |
・メスの幼虫 後部に左右一対の斑紋(雌班)あり。 |
菌糸ビンで暴れた幼虫の画像。
主にエサ交換直後や終齢幼虫の後半(成熟期)の蛹室を作り始める際に発生しやすくなります。
グルリと周囲を掻き混ぜる様に動き回って白い部分が無くなってしまいます。
放置すると小型化したり水っぽくなってしまい羽化不全の危険性が高くなります。
暴れた際は、特殊製法の【無添加虫吉幼虫マット】での菌糸ビン→マットへの切り替え飼育をお勧めします。
※【無添加虫吉幼虫マット】は、菌糸ビンからマットへの切り替え飼育に対応する為に数万匹単位の飼育を元に研究、進化させ続けているマットです。
当店が育てている大型個体の全てがこの飼育方法です。
他社様のマットの使用に関するトラブルにつきましては自己責任で行ってください。
◆ 菌糸ビンの蛹室
菌糸ビンの中のサナギの画像です。
サナギになる数週間前から終齢幼虫は、画像の様な空洞(蛹室)を作り始めます。
蛹室と思われる空洞を作っていたら交換を避けて様子を見てください。
蛹室を壊してしまうと羽化出来なくなる恐れが御座いますので十分にご注意ください。
◆万が一、蛹室を壊してしまったら!!(蛹室崩壊時の救援策)
慌てて埋め戻したり掻き出したりせずに下記の方法を試してみてください。
※折角、羽化まであと一歩の所まで育てたので是非頑張ってください。
蛹室の露天掘りについて |
人工蛹室の作り方について |
ご自身で菌糸ビンをお詰めになられる場合
菌糸ビン飼育の説明のコーナーで紹介した各菌糸ビンは、ご自身でお詰めいただく事も可能です。
但し、詰める強さや温度によっては、菌が回らない(白くならない)というリスクも御座いますので初めての方や菌糸を回す為の温度管理ができない場合には余りお勧め出来ません。
菌糸ビンの『飼育温度』と『菌を回す温度』は、全く異なります。
具体的には、菌が回って白くなってしまえば少々の温度変化(低温や高温)でも問題ありません。
但し、菌床を砕いて菌を回す(二次発菌)場合は、菌糸ビンを白くするために必要な温度や詰め方が必要になります。
菌糸ビンを詰めて白く発菌させる為の推奨温度は、20から24℃です。
20℃を下回るほど白くなるのに時間が掛かります。
したがって真冬の寒い状態では、菌が回らずに終わってしまう恐れも御座います。
また、25℃以上の環境の場合、菌が回らずにカビてしまう事も予想されます。
真夏の高温下での作業は、菌糸が回る際の発菌温度も高くなってしまい菌が死滅して白くならない場合があるのでご注意ください。
◆菌糸ビンのボトル詰めについて
マットプレス(ハンドプレス)という道具を用いてボトルに砕いた菌床を詰めます。
強く詰め過ぎると酸欠で菌が死滅して白くならない事もあり注意が必要です。
※マットと異なり菌糸が広がると勝手に固まりますので絶対に強く押さえ付けないでください。
温度や詰め方に不備が無ければ概ね5から7日後には真っ白になります。
※ノコギリクワガタの仲間の終齢は、詰めてから10日ほど経過して投入の方が落ち着きが良くなります。
■菌糸ビン詰めに必要なアイテム
ブナ菌床ブロック |
クヌギ菌床ブロック |
飼育ボトル500cc |
飼育ボトル800cc |
飼育ボトル1400cc |
木製マットプレス |
切り替え飼育について
これから紹介する飼育方法は、当店が実際に行っている飼育方法です。
菌糸ビン飼育とマット飼育の『いいとこ取り』で虫吉が最も得意としている飼育方法です。
ノコギリクワガタの菌糸ビン飼育は、コストが高い、終齢幼虫で暴れて小型化しやすい、持ちが悪い、他の種類に比べて効果が薄い、などのデメリットがあります。
※あえてメリットを挙げるなら、1本目が500ccの小さなボトルで済む、一部の離島産ノコギリでは終齢までの伸びの加速が違う、といった点です。
・マット飼育は、エサの持ちが良い、低コスト、羽化不全が少ない、暴れの心配が無い、交換タイミング次第では大型化しやすい、などのメリットが多いです。
あえてデメリットを挙げるなら、乾燥防止のために1本目(若齢)でも800ccの高さがある大きなボトルを使用しなければならない事くらいです。
※リニューアルした無添加虫吉幼虫用マットは、食い付きや成長の伸びが良いので一般的なマット飼育の幼虫期間が長くなるというデメリットがありません。
上記の事を考察するとノコギリクワガタの幼虫は、若齢(二齢)までに菌糸ビンに投入して早く終齢幼虫まで育ててしまう事がエサの無駄も減り得策です。
※終齢幼虫で菌糸ビンに入れると『暴れ(菌床の掻き混ぜ)』を起こしてしまい小さくなってしまい対費用効果が悪くなるので菌糸ビンをゴリ押しする飼育を避ける必要があります。
若齢幼虫を菌糸ビンに入れて短期間で一気に終齢幼虫まで育ててしまえばストレスが少ない『無添加虫吉マット』での飼育で問題無いと言う事になります。
※当店及びお客様の飼育でも最も大型個体が出ている必殺飼育法です。
何度か申し上げておりますが『無添加虫吉マット(幼虫用)』は、菌糸ビン⇒マットへの切り替え飼育に対応する様に菌床を強化配合した無添加でも大きく育つ様に研究されたマットです。
他社様のマットをご使用の際のトラブルに関しては自己責任でお願いします。
■マット飼育への切り替え時の交換例
・1本目(二齢幼虫):クヌギ菌糸ビン500cc(沖縄、奄美方面の亜種は、ブナ)
・2本目以降:終齢幼虫まで育っていればマットボトル800ccもしくは、1400cc(アマミノコなど離島産大型種用)でも大丈夫です。
二齢幼虫のままだった場合は、再び菌糸ビン500ccかマットボトル800cc。
※終齢での菌糸ビン投入は、暴れというギャンブル性を伴いますので自己判断でお願いします。
暴れた際もマットへの切り替えをお勧めします。
●飼育例は、少し難しく感じるかもしれませんが基本的に1本目だけ菌糸ビン、次の交換でマット飼育というシンプルな方法です。
無加温飼育(冬が寒く夏が高温)の場合は、夏季の高温時(6から8月)の終齢幼虫でのエサ交換は、落ち着きが悪くなってしまうので3から5月で交換を完了させていただく事をお勧めします。
画像の様に終齢幼虫は成長し切って成熟すると徐々に黄色みが強くなるので菌糸ビンは避けていただく事をお勧めします。
ノコギリの終齢は、暴れやすいので少し手前の段階(微妙に黄色みを帯び始める頃)でも暴れてしまう事がありますので余り欲張らずに早めのマットへの切り替えが良いです。
菌糸ビン飼育やマット飼育の説明でもお伝えしておりますがエサの種類に限らず、交換直後の高温下の飼育は極端に幼虫の落ち着きが悪くなってしまうので少し温度が低い涼しい場所へ移動させるか温度を下げるなどの工夫が必要です。
■終齢時の初夏から夏の交換を避ける為に春(3から5月)にエサ交換を済ませる様に調整すると良いです。
■菌糸ビン⇒マットへの切り替え飼育で紹介したアイテム
クヌギ菌糸ビン500cc |
ブナ菌糸ビン500cc |
マットボトル800cc |
マットボトル1400cc |