死んだクワガタが蘇る-そしてゾンビとなり環境を破壊する-

お客様からのお問い合わせで「昆虫ゼリーのカップに溺れてクワガタのメスが死んだー!」というお電話を頂きました。

どうしても習性上、隠れ家に潜り込むという習性が有りますので特に「3センチ以下の個体」には注意が必要です。

昔はゼリースプリッター(昆虫ゼリーの切断器)がなかったのでこういう事故が多々有りました。


実は、死んだと思っているクワガタは条件を満たすと蘇える事があります。


生物に詳しい人なら当たり前だよ!と言うかもしれませんが、昆虫は変温動物なので人間の様な恒温動物と異なり、もともと酸素の消費量が少なく出来ています。

加えて、昆虫の大多数が大雨や洪水等の異常気象に対する絶滅回避の為の保険(多様性)として「一時的な無酸素状態での仮死状態」になるという性質を兼ね備えています。

実際にオサムシの無酸素仮死状態からの蘇生という体験をしたことが有りますが、クワガタも同じメカニズムでゾンビの様に復活します。


飛べない昆虫のオサムシは2日くらい水の中で沈んでいてもほぼ100%の確率で蘇生しました。

温度を15℃から20℃で保ち、乾燥したティッシュ等の上で保管し時間から3日間の時間を要して復活しました。


話しは元に戻ります。

私も十年前くらいまでは、昆虫ゼリーの中で溺死させる事故を頻繁に起こしていました。

ある時、昆虫ゼリーに溺れて一度にメスが3匹も死んでしまいました。

この時、とっさにオサムシと同じ様に蘇生すると考えて試してみました。

すると6時間から3日掛けて全て蘇生しました。


飛べない昆虫という甲虫類の原点的なオサムシは地上でしか生活できない為に大雨や洪水などの異常気象が起きても逃げることが出来ません。

異常気象が起きても絶滅しない様に無呼吸仮死状態から蘇生できる様になっていると考えられます。

この遺伝子は飛ぶことが出来るクワガタなどの甲虫類にも引き継がれていることがはっきりと確認できました。


世界の昆虫の輸入が解禁されて20年ほど経ちます。

この期間、死んだと思って捨てられた「仮死状態の世界のクワガタたち」が野外に放たれた可能性があります。

というより、こういった情報が余りにも少な過ぎて知らない人は、死んだと思って確実に捨ててしまっています。

外国からやって来た大型で強い昆虫を日本の野外に放ってしまうと、日本の在来種の昆虫が駆逐され、また雑種(遺伝子汚染や撹乱)の個体の誕生の危険性があります。

凍る様な寒さでも同じ様に仮死状態(越冬)になりますので注意して下さい。


他所から持ち込まれた昆虫は、死んでしまったと思われても最低限1週間は捨てずに保管し、死亡確認をしてから弔って下さい。


因に真冬にクワガタを購入された際、到着時に冬眠(仮死状態)になっている事が有りますのでご注意ください。

その際は、慌てて手や息(体温)、暖房器具の近くや温熱器具の上に置くと急激な温度差で本当に死んでしまう場合もあります。

室内の15℃前後(20℃以下)の場所で徐々に目を覚まさせて生存確認を行なってください。