ミヤマクワガタ の繁殖方法の紹介ページです。
他のクワガタと違って朽ち木ではなく、マットを通気性が良い『土』に近付けなければ産卵しないのでコツが必要です。
ミヤマクワガタは、林床と呼ばれる「森の中の落ち葉などが堆積して薄暗く湿った環境」の地表面の温度が26℃を超えると生息できないと言われています。
★「高標高の場所のみに生息」というのは誤りで正しくは、標高が高い場所の方が林床の温度が低くなりやすいというのが正解です。
因みに虫吉が育てている森は、海が見渡せる標高35メートルくらいの場所ですが林床温度が低いので普通にミヤマクワガタが生息しています。
確実な繁殖の為に必要な推奨温度は、25℃以内です。
但し、前述のとおり土の温度が26℃を超えるとダメなのでケース内のマットの温度が25℃以内という事になります。
一般的にケース内のマットの温度は外気よりも3から4℃前後高くなると言われています。
なのでマットの温度を25℃以内に保つ為には、外気温を22℃(20℃前後)まで落とす必要があります。
※理想の土の温度(25℃)-ケース内のマットの上昇温度(3℃)=22℃で計算しています。
その為、産卵のポイントは、夏の暑い時期をエアコン(クーラー)を用いて如何に乗り切る事が出来るかが重要になります。
因みにミヤマクワガタは、気温が25℃を超えると極端に短命になってしまうので産卵まで行き着かない場合があります。
先ず必要な物の紹介です。
深さ(高さ)があって沢山の土が入る容積のケースが適しています。
無添加なので過剰な発酵熱のリスクを軽減できます。
ホームセンターや園芸店などで調達可能です。
基本的に朽ち木にには産卵しませんが朽ちた根っこの下や埋まった倒木の下に産卵する習性が有りますので入れておく事をお勧めします。
障害物としてメスの転倒防止に役立ちます。(出来るだけ体力の消耗を抑える事が必要です。)
今回は、マットに園芸用の黒土をブレンドする方法を紹介していますが、無添加産卵用マットのみでの産卵成功例も多数頂いております。
詳しいセットの作り方の紹介です。
園芸用の黒土は乾燥しているので大きめの撹拌容器に6リットル程入れて霧吹きで少しずつ加水しながら撹拌します。
強く握って固まる程度で大丈夫です。
(握った時にジュッと言う音がして水が出てきたら水分が多いので乾燥させてください。)
この工程が重要で水が多過ぎると失敗してしまう確率が上がります。
先程の加水した黒土に産卵マットを2袋(8リットル)加えます。
虫吉が推奨する黄金比はマット8リットルに対して黒土が6リットルです。
スコップで良く掻き混ぜます。
これで特製産床用土の完成です。
先にも申し上げましたが、朽ち木は効率を上げる為の障害物として使います。
水に浸けずにサッと水を掛けるだけで大丈夫です。(浸水させる必要は有りません。)
余分な水分は水滴を落とす程度で大丈夫です。
コバエ防止ケース(大)に特製産床用土を入れていきます。
ケースの底の部分の5~10センチをオリジナル木製プレスでカチカチに固めるのがコツです。
前述の朽ち木を固めた土の上に置きます。
写真は説明しやすい様に大きめの物(M)を使用しましたが、実際は細い止まり木2本セットかSサイズを3から4本程度入れる事をオススメします。
上から土を被せて埋め込みます。
埋め込んだ土は、酸欠防止の為に軽く手で押さえる程度で大丈夫です。 ※カチカチに固めないでください。
ミヤマクワガタの産卵セットの出来上がりは、丁度こんな感じになります。
この状態になるとかなりの重さになるので持ち運びの際は落下やケースを割らない様に注意が必要です。
天然のミヤマクワガタのオスとメスを入れた参考画像です。
転倒防止の為のクヌギの落ち葉とエサ皿(入らない事も有りますのでお好みで)を入れます。
オスがメスを殺してしまう事故が多いので同居のままにしないでください。
・夏の樹液採集品(天然個体)の場合は、100%の断言ができませんが自然界で交配している可能性があるのでメス単独でも成功する場合も御座います。
交配させた方が確実なのですが一緒に同居させる期間は、一晩程度でも大丈夫だと思います。
・繁殖品は、未交配なのでオスとメスがエサを食べ始めた時点で3日ほど同居させます。
繁殖品は、基本的に初夏から夏に活動して産卵可能になります。
この種類は、見掛けによらず気性が荒く力が強いクワガタです。
ペアリング(交配)の際は、下記の方法がオススメです。
・オスのアゴ縛り(オスのアゴを縛ったまま3から5日ほど同居させる方法)>>
環境にもよりますが気温が下がって来る晩夏から秋になって漸く卵を産み始める事が多く、長丁場になる事が多いです。
兎に角涼しい所で飼育して晩秋まで生きさせる様なイメージが大切です。
熱帯魚のアクアテラリウムの水槽や畑の野菜の土作りの様にセットを組んでから1ヶ月以上経過して土壌性微生物の環境が整ってからが勝負になる感じです。
11月に幼虫採取の為、ケースを引っくり返したところです。
上手くハマると秋に大量の幼虫が出て来る事が有ります。(爆産する事も有ります)
あくまでも卵の数は、メスのコンディションに大きく左右されます。
ミヤマクワガタの幼虫は、菌糸ビンでは育たないのでマットボトル800ccで時間を掛けてじっくり育ててください。
成虫同様、幼虫も夏場の暑さに弱いので涼しい場所での飼育が必要です。
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